東京23区の道路地図を見て、「ん?これは何だ?」と思った方がいるかもしれない。
 r428高円寺砧浄水場線は、混沌とした杉並・世田谷の街路網をスパッと斜めに走るあの道である。
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 東京都道428号高円寺砧浄水場線 第1部 [終点(r11支線交点)→ r3/世田谷通り交点]
 世田谷区の閑静で明るい住宅街を歩く。
 住宅密集地を地形に関わらず直進していく様子は水道道路ならでは。

 東京都道428号高円寺砧浄水場線 第2部 [r3/世田谷通り交点→r311/環八通り交点]
 引き続き世田谷区内を歩く。
 特に案内もなく、環八通りとぶつかるのでそこでトレースも一旦中断。

 東京都道428号高円寺砧浄水場線 第3部 [r311/環八通り交点→ r413/井の頭通り交点]
 京王線の急行停車駅、桜上水の商店街を通り抜け、神田川を渡る。
 桜上水周辺で都道は思わぬルートを取っている。その難易度にちょっと注目。

 東京都道428号高円寺砧浄水場線 第4部 [r413/井の頭通り交点→ 起点(r4/青梅街道交点)]
 世田谷区の閑静で明るい住宅街を歩く。
 住宅密集地を地形に関わらず直進していく様子は水道道路ならでは。

Report 2/4
 r3交点

 世田谷区内、r3/世田谷通り交点からレポート再開。年季の入った歩道橋が味を出しているが、近年全国各地で老朽化した歩道橋の撤去が進んでいる。この場所は学校が近く存在意義はそれなりと思われるが、もしかすると撤去される日が来るのかもしれない。
 再び全線地図。砧小学校そばの交差点(南から2番めのオレンジピン)が現在地。

 実は第1部では1km程度しか進んでいなかった。
 シックな雰囲気のお店の脇がr428の入口。

 オレンジポールと幅員制限が満を持して登場。

 見ての通り、r428はオレンジポールによって
無理矢理通行車両の幅員を制限している。道路自体は周囲の街路より少し広いぐらいなので、1.7mという過酷な制限は本来(道路の狭さという面では)必要ないのだ。
 これまでも(そしてこれ以降も)要所要所でオレンジポールが登場するが、これは第1部でも触れたように水道管保護のための通行制限を目的としたバリケードである。

 そんなオレンジポールだが、ここは都道。新東名に存在するあのポールの名前が浮かんだ人もいるかも?

 画像はトレーサーの味方と名高い「都道シール」です。管理番号にしっかり428の数字が見えますね。
 ここで仙川を渡る。京王線の駅名の1つにもなっているこの川、野川の支流にあたる。
 川自体は野川と比べてもさらにこじんまりとしたものだ。

 仙川は元々小金井市内の湧き水に源流をもっていたが、戦後の開発と舗装化によってそれらは失われ、現在は護岸された人工流路(普段は枯れ川)が存在するのみである。現在の仙川は三鷹市新川のr110/人見街道付近の地下水取水施設からの放流が源流となっており、その下流で排水や処理水を集めて世田谷区内で写真のような姿を見せた後、野川へ注ぐ。
 川を渡った後は勿論登り坂である。ここも結構きつい。

 右側、崖線に沿って東京都住宅供給公社大蔵住宅という団地がある。この団地も都内の他の団地と同じく1960年前後の建設で老朽化が進んでいるが、敷地内を国分寺崖線が走っており、湧水や緑が残された豊かな団地である。2014年5月に公社から建替選定住宅に位置付けられ、遠からず建て替えられる予定があるとのことだが、新たな団地になってもそうした自然と住宅との調和が図られるような設計になるだろうと思う。
 丁度このあたりが崖線真っ只中である。10月になってもまだ木々の緑が力強い。
 国分寺崖線を登りきると、日大商学部の建物が見えてくる。

 といってもここは裏口で、少し南を走るr3/世田谷通り沿いに正門がある。
 引き続き世田谷区内の町並みを歩く。

 第1部で見た辺りより少し古い建物が多く、そしてアパートが目立つ。日大が近いことから学生街的な一面もあるのだろうか。
 日大を離れたところでまさかの駐車場付きローソンが現れる。

 小型車8台分のスペースがずらっと並んでいるこの風景。この写真だけ見せてここは埼玉県だ!などと言っても(世田谷の住民は怒りそうだが)平然と通じそうだ。

 あと、幅員制限がいつの間にか1.8mに緩和されていました。
 更に都道を歩くと今度はJA東京中央と書かれた建物が現れる。

 そう、あのJAですよ。農協のJAですよ。

 調べたところによるとJA東京中央は「地域金融機関」としながらも23区南西部エリア産の農産物を直売所で販売もしている。ロードサイド型コンビニと併せて23区に一番ミスマッチ(?)なものが立て続けに現れてびっくりである。
 JAの脇には小さなお地蔵様が立てられていた。

 この辺りも1950年代まで農村地帯だったエリアだが、古地形図によると1900年頃には既にここは農道同士の交差点で、お地蔵様が立つだけの結節点だったようだ。

 余談だが、先程のJAの交差点で左に曲がると小田急小田原線祖師ヶ谷大蔵の駅前通りに出る。徒歩で行く場合はそちらが速いが、車の場合はここではなくもうしばらく先で進路を変えたほうが良い。
 JAを過ぎて更に北へ。この辺りに来ると水道管保護どこいった?と言いたくなるほどの快適な2車線幅。
 ここで小さな橋が現れる。

 その川の名は谷戸川。「仙川から分水される丸子川の支流」という小さな川である。こちらのサイト(世田谷の川探検隊)に辿った記録がある。他にもネット上に幾らか記録があるので、興味のある方はレッツグーグル。
 水道道路であることを思い出させるかのように1.8mというきつい幅員制限標識が現れる。いやこれミスマッチだろ・・・。
 調子に乗って信号交差点まで現れる。ちょっと先に小学校があるからかな。
 交差点の先で、世田谷区立山野小学校の脇を通る。

 左手に写っている校舎は非常に古く、「これ現役の小学校だよね?」と疑うほどであったが、撮影から1年後の2016年10月に校舎は解体され2018年の完成目指して新たな校舎を建築中とのこと。
 小学校を通り過ぎた辺りで道路は急に広くなる。

 具体的には、街路樹が立った中央分離帯が設置される。

 水道道路においては車道を広く取るほうが却って水道施設によろしくないので、中央分離帯などで車道を狭くしつつ景観にも配慮するというのはありなのかもしれない。
 中央分離帯は小田急小田原線の高架で一旦途切れる。

 先述の祖師ヶ谷大蔵駅は、車でアクセスする場合撮影地点のすぐ手前から左折するとよい。
 中央分離帯復活。

 ここまで道路が立派になっても幅員制限標識が立っている。いや確かに狭いんですけどね。
 中央分離帯がある割に路側帯は狭いのでややアンバランスな印象を受けてしまう。まぁこういう道も好きですが、普段通るところだったら嫌だな。
 そんなハイスペック水道道路も次の交差点まで。道路は無理矢理に狭くなるが、これでも一方通行にならないのはもはや意地か他の道路もそうなのか。
 そんな閑静な道も一旦途切れる。止まれ標識の先は東京の大幹線、環八通り。

 r311/環八通り交点

 毎度おなじみ環八通りとの交点。r428はこの交差点の延長上を直進するのだが、見ての通り環八によって分断されているのでトレースするには一旦迂回する必要がある。

 レポート第2部はここまで。
Impressions
 第2部区間で印象的だったものは大きく分けて2つ。

 1つは、ロードサイド型(駐車場併設の)コンビニからのJAという二大23区に似つかわしくないもの。

 大都市圏にも農協は主に金融機関として生き残っていることは知っていたけど、いざ現実に見かけると「JA・・・、おっマジか!?」とびっくり。
 なお世田谷区は元々の面積が広いこともあって23区では練馬に次ぐ2番目に農業が盛んな特別区である。農地面積94ha、農家戸数340戸(H27現在)という規模であるが、野菜と果樹を中心に多様な作物の生産がある。世田谷区のみならず23区に残る農業自体が減少の一途を辿っているが、これらを存続させて欲しいという地元の声も少なからずあるようで、JAも農業に関する「本業」を全く手放すことはないだろう。

 もう1つは「大蔵住宅」である。

 通過当初は「あ、団地だ」程度の存在であったが、調べるうちに崖線沿いに残された自然や湧水池そして高度成長期の団地建築がマッチした美しいスポットであることがわかった。

 大蔵住宅も間もなく建替えによって大きく生まれ変わる存在である。行くなら今のうちかもしれない。

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 東京都道428号高円寺砧浄水場線 第1部 [終点(r11支線交点)→ r3/世田谷通り交点]
 世田谷区の閑静で明るい住宅街を歩く。
 住宅密集地を地形に関わらず直進していく様子は水道道路ならでは。

 東京都道428号高円寺砧浄水場線 第3部 [r311/環八通り交点→ r413/井の頭通り交点]
 京王線の急行停車駅、桜上水の商店街を通り抜け、神田川を渡る。
 桜上水周辺で都道は思わぬルートを取っている。その難易度にちょっと注目。


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最終更新日:17年2月28日
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