ひがし北海道エリアの中でも最果て的な風景の広がる野付半島。
 後半戦も野付半島でしか見られない荒涼とした風景を楽しんでいただきたい。

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 北海道道950号野付風蓮公園線 第1部 [終点(R244交点)→ 別海町内 ナラワラ駐車場]
 R244を離れ、いざ野付半島。
 道路の脇は右も左も水平線。細長い砂嘴であることを実感しつつ、立ち枯れの林、ナラワラの見える場所へ。

 北海道道950号野付風蓮公園線 第2部 [ナラワラ駐車場 → 起点]
 荒涼とした、それでも開放的な野付の景色を眺めながら、18kmに及ぶ道道を走り抜ける。
 道道撮影の合間に、途中のネイチャーセンターから続く探索路も歩いてみた。

Report 1/2

 ナラワラ

 元はナラが主体の雑木林。海水侵食により立ち枯れた。
 SF映画で見られるような「死んだ林」が現実のものとなっている貴重な光景だが、改めて調べてみると、ここも以前より崩壊が進んでいる。
 ナラワラの奥には青々と茂った雑木林がある。航空写真で見ると、道路からは見えない反対側の森の端もナラワラ状態になっている。

 海水面の微妙な移動によりこの森の運命も左右される。水没すればナラワラ状態を経て干潟になるし、ナラワラ状態になっても長期間乾燥が続けば草原となり、長い時間を経てまた木が育つ。
 再び幅の狭い部分に入る。テトラポットの向こうには水平線が見える。
 水平線が遠ざかると周囲は荒野となる。錆びたドラム缶とD型倉庫がアクセントを添える。
 そろそろこういう景色飽きてきましたかね。
 トドワラ
 1.5km先駐車場
 r950の道道標識とトドワラの案内板が現れる。奥の民家は人が住んでいるのだろうか?
 トドワラ 300m先駐車場

 右奥に見える茶色い建物が野付半島ネイチャーセンター。ナラワラ同様トドワラはこの近くにある、そう思っていた私がいました。
 ネイチャーセンター前。

 奥に見える高床の建物は高波時の避難施設で、もともとは築山の上の東屋だったのが最近建設されたもの。

 なお、国後島北海道最近接点はちょうどこのネイチャーセンター付近となる。その距離はわずか16km。この写真を見せた友人曰く、「これ国境警備所も兼ねてるんじゃね?」とのことだったが、建物内は無人でそういう雰囲気は感じなかった。
 なお、対岸国後島にはこの建物とは比にならない規模の国境警備隊基地が設置されている。
 というわけで、ネイチャーセンターからトドワラを目指すことに。

 ここで気付いたのだが、ナラワラと違ってトドワラは駐車場から直接見える場所にはない。案内板を見るに、駐車場から1km以上遊歩道を歩いた先にあるとのこと。

 撮影当時は10月中旬としては暖かい陽気だったが見ての通り遮蔽物が何もない野付半島は常に風が強い。何より道東は夕暮れが早いので行程に心配があるが、行くなら今。というわけで駆け足でトドワラへ向かう!
 最初は舗装遊歩道で、こんな感じの草原の中を歩く。その向こうに見える海には、当時たくさんの野鳥が羽を休めていた。
 10分ほど歩くと、「トドワラ」の看板。ってどこにトドワラが・・・?
 と思った先に、遊歩道は更に続いていた。

 まるでゲームの水上歩道のように、欄干もない木道が海岸線そして海の上に続いている。
 少し歩くと海の上で木道が分岐する。左側沖に向かうのは遊覧船乗り場に続く道で、トドワラ探索路は右である。

 遊歩道は狭く、分岐の手前にわざわざ待避所が設置されているほどである。水面を見れば分かる通り当時はかなり強風が吹いていた。すれ違う人など誰もいなかったが、正直この上を歩くのはちょっと勇気が要る。
 遠くにネイチャーセンターと知床連山の山並みを見ながら木道を進む。

 正直この景色だけでも割と来る価値がある。

 トドワラ

 そして木道の最奥部に見える数本の枯れ木。これがトドワラである。

 読者の皆様も思うだろう。トドワラ、思っていたよりしょぼい

 正直自分もナラワラ並の規模を想像していた(想像しすぎてたようだが)ので、これはがっかりというレベルだった。どうやら近年一気に崩壊が進んだのか。
 というわけで来た道を引き返す。
 中央やや左に見える建物が例のネイチャーセンター。その奥に見える島影は(おそらく)国後島。こうしてみると知床連山よりも近いのだ。

 一方近景に目をやるとあちこちに切り株の残骸が見える。恐らくこれがかつてのトドワラの残骸で、高潮などによる影響を受け流失したものと思われる。この辺りでは2014年末の高潮で木道が損壊するなど大きな影響を受けていた。
 そんなトドワラの残骸は思いの外広い範囲にあった。かつてはナラワラ同様立ち枯れた林であり、もっと遡るとトド松林だっただろう。

 この後は来た道を歩いて引き返した。途中、ワシと水鳥が空中戦を繰り広げ、1羽犠牲になるという光景を目にしたがあっという間&遠過ぎてレンズには収められなかった。
 トドワラを後にし、道道の最奥部へ向かう。
 これまでと変わらない荒野が広がる。でも、確実に半島の先端に向かっている。
 それにしてもとても平坦な景色が広がっている。
 この先に複数の看板が現れる。r950起点(行き止まり)はすぐそこ。

 道道950号起点

 野付半島の先端部はまだまだ遠く、遠くには野付埼灯台が見えるが、r950はネイチャーセンターから2km余り走ったこの地点で起点行き止まりとなる。

 この先には灯台や漁業関連の作業小屋、野鳥観察小屋などがあるが、外来の人は左側のパーキングに車を停め、徒歩でアクセスすることになる。
 道道が途切れた後は砂利道に電柱が寄り添う。こういうシンプルな景色ですら、日本では余り見られないのだが。
 そして起点を振り返る。

 大判道道標識が道行くものを出迎える。荒涼とした最果ての半島に佇む地域限定の大きな標識。

 数々の道道ファンを魅了してきた光景に、ようやく出会えた。

 実際、ここを訪れたときは一人で盛り上がってました。標識の写真をやたら撮ったり、自撮りを試みたり。
 大判道道標識を間近で撮影してみる。秋は草の色も褪せた景色だが、夏や冬はまた違った風情がありそうだ。補助標識のカスレ具合、そして地盤の影響か標識そのものが傾いているのがとてもいい。

 r950のレポートはこれにて終わり!
Impressions
 第1部ではr950は道東を訪れる多くの旅人にとってロマンであると書いたが、皆様はどうでしょう?

 今回記録したr950は済んだ秋空の元の撮影だったが、草木の緑が褪せているのが少し残念だった。
 私の写真では野付半島の魅力を伝えきれてはいない。もし訪れる余裕があれば、是非野付半島に来て、日本の端っこに吹く風を浴びながらその独特な景色を眺めてみていただきたい。

 実際私も、野付半島を訪れて、少しだけ気分がリセットされたような気持ちがした。
 きっと好きな人には記憶に残る体験となるだろう。

 ところで、トドワラの過去の姿についてはGoogle検索などで調べてみていただきたい。かつてこの世の果てのような景色が広がっていたらしいが、この世の果てが更に果てるとただの湿原や藻場になってしまうのであった。

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 北海道道950号野付風蓮公園線 第1部 [終点(R244交点)→ 別海町内 ナラワラ駐車場]
 R244を離れ、いざ野付半島。
 道路の脇は右も左も水平線。細長い砂嘴であることを実感しつつ、立ち枯れの林、ナラワラの見える場所へ。


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最終更新日:17年1月14日 inserted by FC2 system