北海道の最果てといえば、北の果て、宗谷岬、礼文島だろうか。それとも、東の果て根室半島、知床半島だろうか。
 根室と知床のちょうど中間には野付半島というもう1つの最果てがある。野付半島はトドワラナラワラの荒涼とした風景を持ち、国後島を近くに望む一方でラムサール条約にも登録された野鳥の楽園である。

 そんな半島の唯一のアクセス路、r950野付風蓮公園線をレポートしよう。

Information
路線: 北海道道950号野付風蓮公園線
起点:野付郡別海町野付
終点:標津郡標津町茶志骨(R244交点)
延長:17,926m(総延長)
沿線:トドワラ ナラワラ 野付半島ネイチャーセンター など
走行:全線(終点→起点) 2016年10月15日撮影
Index

 北海道道950号野付風蓮公園線 第1部 [終点(R244交点)→ 別海町内 ナラワラ駐車場]
 R244を離れ、いざ野付半島。
 道路の脇は右も左も水平線。細長い砂嘴であることを実感しつつ、立ち枯れの林、ナラワラの見える場所へ。

 北海道道950号野付風蓮公園線 第2部 [ナラワラ駐車場 → 起点]
 荒涼とした、それでも開放的な野付の景色を眺めながら、18kmに及ぶ道道を走り抜ける。
 道道撮影の合間に、途中のネイチャーセンターから続く探索路も歩いてみた。

Report 1/2

 道道950号終点

 左折:r950 野付半島
 直進:R244 根室 厚床

 ひがし北海道の海岸線を延々と走るR244。標津中心部の少し南、茶志骨を終点にr950はR244にぶつかる。
 交差点の様子。

 R244を始めとする根釧エリア内の道路は交通量が非常に少ないが、右折レーンなど道路自体は立派である。撮影は観光が下火となる10月半ばだったが、夏は旅行者などで相応の交通量になるのだろうか・・・?
 それでは、道道を走ろう。
 R244交点から若干登るが、国土地理院の地図で見る限りこの先はせいぜい標高5mが最高点となる。
 そしてここ標津町内にも例の大判道道標識が設置されている。補助標識は抜け落ちたのか最初から無いのかわからないが、ここには見当たらなかった。
 一方で例の縦型標識も終点すぐそばに存在している。
 r950は野付半島の景色そして大判道道標識が印象に残る道道リティの高い道だが、実は道道標識のバリエーションがなかなか豊富だったりする。
 このあたりはまだ野付半島の基部にもあたらない場所で、付近の景色と同じく道路際には牧草地や廃サイロのようなものが目につく。

 安心してください、野付半島に行くと牧草地もありません。
 道路際の廃屋。
 ここは漁師の家か牧場か、(現役の)人家が見える。

 根釧エリアに居ると現役の人家の前を通るだけで何ともいえない安心感が生まれる。酪農地帯では隣家同士がキロ単位で離れていることもあるため、人の手が加わっていることはわかっても人の気配が無いのである。
 程なくして左手に海が見える。

 左側 or 右側に海が見えるのは普通の海沿い道である。
 ちょっと変則的なカーブ標識。後背カーブのようなそうでないような。
 このあたりは漁師の作業小屋のような建物も並ぶが、人家もある。
 周囲の景色は徐々に平坦に。
 たまにカーブがある。

 緩いカーブなので標識が要らないようにも思われるが、それは非積雪期の昼間だから言える話であって、ホワイトアウトする積雪期や真っ暗な夜の場合はこういう警戒標識が凄く頼りになる。
 平坦な低地に電柱が並ぶ。道道はあの電柱と平行している。
 そして遂に野付半島へ。

 お分かりだろうか、海が道路の両側に広がっている!
 野付半島を突っ走る。左側が外海で、内側が野付半島によって形成された野付湾である。

 野付半島は長さ26kmに及ぶ日本最大の砂嘴(さし)で、幅は狭いところで50m未満、標高は高いところでも5m以下と非常に薄くそして細長い。
 第2しべつ展望パーキング
 (野付半島ポイント)
 500m先

 半島も付け根だと言うのに展望駐車場があるらしい。
 第2しべつ展望パーキング
 100m先

 この日は快晴。風が強いが海の向こうまでよく見える。せっかくなので、寄ってみることにした。
 パーキングに来てみた。

 野付半島は付け根の部分が標津町、先端部が別海町に属する。このパーキングは標津町の端にあたる部分で、案内図も標津町がメインになっている。

 しかし左側の拡大図、野付半島の先端部を載せてくれないのは少し不案内ではないか。別海町内か標津町内かなんて、多くの観光客はあまり気にしないのだから。
 パーキングの眺望は見ての通り海、そしてその向こうに国後島が見える。

 この海は根室海峡の最狭部野付水道にほど近い海域で、国後島までの距離は20km。一見穏やかな海だが、対岸にはロシアの国境警備隊の基地が存在し、海峡の交通そして北海道側の海岸は監視されている。

 事実上の国境である海峡の向こうに見える国後島、実質的には近くて遠い外国なのである。
 そんなパーキングを後にする。

 なお駐車場周辺の半島の幅は100m程度なので写真と反対側を向けば野付湾の内海が見える・・・かもしれない。
 平らな砂嘴地形をバックに色褪せた道道標識が立っている。最果ての風情を感じる景色だ。
 錆びたトタン屋根が「ソソる」。
 先程の道道標識からあまり距離を空けずに次の道道標識が現れる。

 この標識も激しい気候に耐えてきたのか、ずいぶん色あせている。
 終点側から約7km余り走ったところで別海町に突入する。
 別海町のカントリーサイン。

 広大で平坦な牧草地をバックにがこちらを向いているだけのシンプルなデザインである。しかしこれだけでも伝わるのだから別海は凄い。

 余談だが、別海町のカントリーサインの英字は「Betsukai」とある。別海の読みは1971年に公的機関では「べつかい」に統一されたが、議会で議決されたものではなく、口語では「べっかい」と読む人も多かったため長い間議論を呼んできた。

 
 そんな別海町の読みであったが、2009年、水沼猛町長は町議会にて「べつかい」「べっかい」双方を認める宣言をした。ちなみに町として公的に読みを求められた場合はこれまで通り「べつかい」としているので、標識類などは「べつかい」のまま更新されていくだろう。
 ナラワラ 1.5km先
 再び両側に海を望む。

 標高は3m、外海にはテトラポッドが置かれているが、野付湾側は人の手も入っておらず、湖のほとりのような岸をしている。

 もうこのレベルになると越波どころか部分水没して半島&道路が分断されるのではないかというレベルで海と近い。
 ナラワラ 1km先
 ナラワラ 500m先

 1km先標識と掲載されている写真がガラッと違う。夕景もきれいなんだろうな・・・
 500m走るとナラワラ駐車場がある。道路右側、白いブロックが敷かれた数台分の小さな駐車スペースだ。

 ナラワラ

 駐車場の対岸に見える立ち枯れた林がナラワラである。

 元はミズナラなどの木々の原生林だったが、海水の侵入により木が枯れたまま残ったもので、野付半島ならではの荒涼とした風景の1つである。

 そんなナラワラを見ながら、第1部を終わる。
Impressions
 冒頭の通り、r950は数ある北海道道の中でもr106稚内天塩線と肩を並べるほどの「ロマンある」道道と言ってもいい。

 見ての通り、r950の沿線には起伏がない。更に進むと、道路際に木がない。
 でも両側に海が見える。

 そして立ち枯れの林、ナラワラという独特の風景がある。
 野付に至るまでの道のりも含め、日本の最果て、しまいにはこの世の最果てなんじゃないかというほどの荒涼とした雰囲気が旅人を魅了する。

 それでは、野付半島ドライブの続きも御覧くださいませ。

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 北海道道950号野付風蓮公園線 第2部 [ナラワラ駐車場 → 起点]
 荒涼とした、それでも開放的な野付の景色を眺めながら、18kmに及ぶ道道を走り抜ける。
 道道撮影の合間に、途中のネイチャーセンターから続く探索路も歩いてみた。


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最終更新日:17年1月3日 inserted by FC2 system