道北は名寄盆地と言われる天塩川流域の平地は、北海道の基幹産業である農業が盛んだ。この辺りを南北に縦断するルートは国道40号や部分的に存在する高速道路・バイパスが主体だが、国道に平行する道道が何本か存在する。今回紹介する道道も、そんな国道と並走する道の1つである。
Information
路線: 北海道道976号 西風連士別線
起点:名寄市風連町字西風連(r729交点)
終点:士別市西4条6丁目(R239,r536交点)
延長:9,497m(実延長) 重複区間を含めると13,999m
沿線:士別市中心部、日本甜菜製糖(株)士別製糖所、士別市日向森林公園、日向温泉、日向スキー場 
走行:全線(終点→起点) 2015年6月20日撮影
Index

 北海道道976号西風連士別線 第1部 [終点(R239・r536交点)→ 士別市下士別(r850交点)]
 この区間は全部を通して、国道40号と並走して南北に走る。40号線より色々と密度が低いのでそっちに飽きたらこの道路もいいかもしれない。

 北海道道976号西風連士別線 第2部 [士別市下士別(r850交点)→ 起点(r729交点)]
 r850との重複区間の後、道路は一転山間部へ。士別駅前から誰でも無料でアクセスできると評判の日向温泉を沿線に抱え、名寄市に突入して程なく起点となる。

Report 1/2
 左折:温根別
 直進:北町
 右折:国道40号

 r536剣淵原野士別線側からr976の終点交差点へアプローチする。標識が旧型で小さい。「← めん羊牧場」という補助標識がひたすら目立つ。

 画面右手に廃業したスーパーみしまが存在する。道北在住の方々にはかつてはお馴染みだったスーパーの1つであった。経営していた株式会社三島は1962年に士別にて設立、現在もこの地域の小売業を支える西條との競争がありつつも、1985年旭川に進出するなど事業を拡大(その影響で、私も旭川のみしまは何となく記憶がある)。
 今回はレポートを無理やり二分割したので存分に話を逸らす。これは西條と三島、そして西條の店舗を引き継いだ道北ラルズ(現道北アークス)に関する相関図である(拡大版はこちら)。

 一時は士別のみならず上川管内各地に事業を展開した三島であるが、バブル期以降の景気低迷、地域の人口減少の影響を受け、経営が悪化。営業譲渡による経営再建を図るも2005年に民事再生法適用・会社清算。当時存在した店舗の一部は現在も別の企業傘下(道北ラルズ)で営業を続けるが、士別周辺にこうした空き店舗・閉鎖店舗が残り、今となっては道北経済の衰退の象徴とも言える存在に感じる。
 r976のルート全図を示す。こうして路線の外観を眺めると、起点側は(西風連)は結構R40と離れている。

 道道976号起点

 R239との交点。補修工事真っ只中だが、道道はここを直進だ。
 しばらく進むと、西4条北1丁目というキリの良い住所表記の交差点がある。
 道路右側の木々の向こうには、日本甜菜製糖の社宅そして工場が存在する。日本甜菜製糖は「すずらん印」の砂糖を製造販売する砂糖屋さんで、3つある製糖所の1つ士別製糖所がここr976沿線に存在する。

 勘のいい方ならお分かりだろうが、この交差点で前方を横切る道がかつてのR239であり、この交差点がかつてのr976の終点であったと判断できるが・・・少し謎が残る。詳しくは後述する。
 先ほどの交差点を過ぎた後、こんな感じの古臭い道道標識を見つけた。今回の旅で初めての「おつとめ品」道道標識だっただけに、思わず「あー!いい標識ある!ごめん、ストップストップ!」と運転中のあーさー氏に話してしまった。
 標識の接写。本来なら路線番号が書かれている位置に路線名が入っているこのタイプの標識は道外でも若干存在するが、北海道ではなぜか上川管内周辺それも士別周辺にしか見られない。

 謎について。r976の道道認定は1979年のことで、航空写真を見る限り1976年にはR239の現ルートが完成している。そのため、先ほどの交差点が道道の終点である必然性が無い。道道標識がわざわざこの場所にあることを考えると、道道の終点が先ほどの交差点であったことはかなり確実なので、道道認定当時は旧ルートの国道指定が外れておらず、終点が現在と違った状態で指定したと考えるのが妥当か。
 製糖所の脇をひた走る。

 ビート栽培と言えば北見のイメージが強いが、空知・上川・留萌の3管内で4,545haの作付面積と24万トンの生産量がある。士別製糖所はちょうどこの3管内で生産されるビート全てを処理しており、砂糖3万8000トンを生産する。これは道内全体の7%弱の量であり、また、製糖所の規模としては道内最小レベルである(農畜産業振興機構,H25年度実績)。
 市街地を抜けると同時に、配管のようなものが道路を跨ぐ。

 道路の右側に製糖所、左側に貯水池があることから、製糖に用いる水を流す配管だろうか。製糖の工程ではビートの洗浄において大量の水を使う。どうでもいいが、ビートは根も葉もアクが強くてとても食えるものではないと日本甜菜製糖のホームページに書かれている。
 直進:風連 朱鞠内
 右折:R40方面

 製糖所の敷地を離れるところで標識のある交差点。この先しばらくR40と離れる。
 延々と直進する。
 左折:r976 朱鞠内 風連

 交差点の案内標識自体は道道は左折しろという単純なものだが、その左横にある観光地標識の情報量が多すぎて読み取れない・・・
 交差点。これはどうみても左に行くべきだよね・・・。
 左折して1ブロック走るとまた似たような案内標識。

 ちなみに、左横の観光地標識は上から
 「天塩川河川緑地公園 パークゴルフ場」
 「日向スキー場」
 「日向温泉」
 である。一番上のは正直言って運転中に読める字数を超えてる。
 右折すると、なだらかな山地を脇目に広大な畑作地帯が広がる。

 士別和寒剣淵の3市町について、耕地面積では14,970haが田で12,810haが畑である(H26 農林水産省統計)が、実際に水稲を作付しているのは作付面積23,774haのうち4,728haにすぎない(H26 JA実態調査)。体感的にもこの地域は畑作地帯である。
 朱鞠内 34km
 風連 14km

 r976の起点、西風連はR275と風連の中間地点にあり、朱鞠内と風連の両方についてそこそこアクセスがいい。
 下北大橋で天塩川を渡る。

 取材日(15/6/20)で初めて天塩川を渡る。この日は天塩川の河口、天塩町に宿を取っており、以降飽きるほど天塩川を渡り、水面を眺めている。

 橋梁名の下北とは、天塩川を境に向かい合う下士別と北町の地名から来ている。
 川を渡り切った先にようやく晴天エリアが!

 前方にはいわゆる名寄盆地と呼ばれる平野が広がっている。付近に市街地はおろか建物自体存在しないこともあってか橋の高さの割にとても見晴らしが良い。
 防風柵と並走しながら、先ほどのように平野部をひた走る。
 直進:r850 朱鞠内 風連
 右折:r850 下士別 R40方面

 r850瑞生下士別線との1回めの交点が近づいてきた。重複区間にもr976の表記を付けてもらいたいところだが、まぁ気にしない。

 ちなみに、この地点で我々は重大な誤りに気付いた。本来撮影しようとしていた路線は、国道から比較的近いr850であり、ここまで走ってきたr976を走り続けると西風連にまで逸れるため大きな遠回りを強いられることに気付いたのである。
 この交差点で右折した先、R40交点でUターンすればr850のトレースが可能なので、r976は捨ててそうするか・・・?と悩んだが、運転担当のあーさー氏が「右折するの面倒だしどうせ西風連まで行っても時間ロスは大したこと無いだろう」と、r976をトレースすることを選択。 ちなみに、こうした慢心と私の道道根性のせいで、彼はこの後、ある駅の切符収集に失敗する。

 ここから約4キロにわたってr850と重複するが、続きは第2部にて。
Impressions
 今度は、あんまり間を開けずに北海道の田園地帯の道路をレポートしてみる(r1009の執筆から1ヶ月も経ってないはず)。

 当然ながら空知や石狩、また、旭川以南の上川とは色々事情が違う。

 士別周辺の土壌はほとんど褐色低地土、褐色森林土からなり、泥炭地帯の石狩や空知と違って元々土壌に恵まれている土地である。しかし、平均気温が低く特に冬期の寒さが厳しいことから、うるち米の栽培は盛んでなく、畑作が中心である。

 今回は製糖の街という観点で士別地域について考えながらレポートを書いたが、そうした気候や土壌の背景と、道路上で見られるような産業風景との繋がりを改めて実感していた。

 続きは後半、第2部へ。

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 北海道道976号西風連士別線 第2部 [士別市下士別(r850交点)→ 起点(r729交点)]
 r850との重複区間の後、道路は一転山間部へ。士別駅前から誰でも無料でアクセスできると評判の日向温泉を沿線に抱え、名寄市に突入して程なく起点となる。


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最終更新日:15年8月8日
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