東京23区でも東側は西側と比べ割りと整然と整備された市街地が広がっている。今回は江東区から墨田区を南北に結ぶお手頃な都道を1本紹介しよう。

データ

  • 起点:江東区南砂六丁目(r10東京浦安線交点)
  • 終点:墨田区立花四丁目(r306王子千住南砂町線交点)
     地図で見るとほぼ全線にわたってr306と平行している。

     終点の立花という地名は付近にある吾嬬神社ゆかりの弟媛に由来する。吾嬬神社は1932年の向島区設置まで存在した吾嬬町の由来であり、現立花は1965年の住居表示実施時まで吾嬬町+大字といった町名となっていた。路線名はこの吾嬬町に由来すると思われる。

  • 延長:3,981m(何故か走行距離5.1kmより短い・・・)
  • 沿線:東京メトロ南砂町駅、都営地下鉄大島駅、東武亀戸線亀戸水神-小村井駅 など
  • 走行区間:全線(起点→終点)、14年10月26日

     この路線は通称「丸八通り」と呼ばれる。

  • レポート

     都道476号起点

     直進:r10 日本橋
     右折:r476 東向島 大島

     r10清砂大橋支線を葛西から都心方面へ向かう途中、地下鉄東西線南砂町駅の付近で北に折れる都道がr476だ。

     東向島はr306明治通り合流後更に進んだR6との交点の地名であり、大島はr50東京市川線との交点の地名である。ちなみに大島は「おおま」と読む。
     交差点の様子。23区内といえども郊外型量販店の看板が目立つ。地下鉄東西線沿線は都心からの距離の割に郊外っぽい雰囲気だったり道が広かったりする。
     右折後、集合住宅の並ぶエリアを通りぬける。

     地下鉄東西線はr10ではなく画面手前で横切っている道路の真下を通っている。この地下鉄線は東京メトロの路線の中でもかなり地上区間の割合が高く、南砂町のすぐ東側から末端の西船橋までずっと地上区間である。
     r476は東京都市計画道路幹線街路環状第4号線の一部を担っている。この都市計画道路について解説すると長くなるのでWikipediaの該当ページや、この地図(環状4号線の全貌とr476の位置図)を見ていただけると幸いである。これまたデフォルトでは引き気味なので適宜操作してご覧くださいませ。
     快適な4車線路が続く。左サイドに見えるのは都営南砂三丁目アパートという公営住宅である。

     南砂三丁目にはこれ以外にも2つの都営住宅があり、戸数は合計で1000戸を超える。給水塔が住宅と別の建造物として見えるあたりお察しだが建設は昭和40年代初頭(東西線南砂町駅開業が1969年なのでそれより少し前)であり、おそらくは典型的な高度成長期団地であろう。
     左折:r10/葛西橋通り 永代橋
     直進:r476 東向島 大島
     右折:r10/葛西橋通り 浦安

     r10東京浦安線の本線との交差点の予告標識。

     r10に限らず東京都道は支線を作ることが大好きである。トレースする側としては面倒くさいので支線があることで断念した路線も少なくなかったりする。
     南砂六丁目交差点/r10交点

     r10東京浦安線と交差する。道路地図などでは南砂町駅入口からこの交差点までをr10としているものもあったが、そうではない。

     道路通称としての丸八通りの名称が見られるのはこの辺りから先である。
     砂町橋で仙台堀川を渡る・・・

     のだが、仙台堀川は北砂から東陽にかけてのエリアで埋め立てが行われ、1980年に仙台堀川公園として開園している。砂町橋は橋としての形が残っているが、道路の脇を見ると河川ではなく公園が広がっている状態である。

     仙台堀川公園は長さ3700mにも及ぶ東京最大級の親水公園で、南砂と東陽の間で横十間川親水公園と繋がっている。現在ではお花見スポットの一つとしても数えられている。
     左折:r10/清洲橋通り 清洲橋
     直進:r476 東向島 大島
     右折:r10/清洲橋通り 東砂

     r10東京浦安線旧葛西橋支線との交差点の予告標識。

     r10旧葛西橋支線とは、荒川にかかる現在の葛西橋より少し上流に存在した橋に繋がっていた道路が都道指定されていることによる。旧葛西橋についてはこちら(Wikipedia)の2.の項に詳しいので説明はそちらに譲ろう。
     亀高橋交差点/r10旧葛西橋支線交点

     ここで左折するとr474経由で清洲橋へ向かうが、旧葛西橋は現存しないため右折しても荒川は渡れない。そんなこともあってかひっそりとした都道交差点である。
     亀高橋交差点から地名が北砂となる。
     特に代わり映えしない4車線路が続く。
     砂町銀座商店街との交差点を過ぎたあたりから中央分離帯が現れる。

     北砂4丁目、明治通りから丸八通りの間をおおよそ東西に結ぶこの商店街は、「東京に残る活気ある下町商店街」の1つとして有名で、毎月10日に大安売りをやっている。

     しかしながら、近隣以外からのアクセスはおおよそ都バスに限られるのがちょっと難点か。
     画面左側にr476の単独ヘキサがお目見えした。

     活気ある砂町銀座商店街だが、近年商店街を取り巻く状況は決して甘くないとかんがえる。北砂にはアリオ北砂という大型商業施設が2010年6月にオープンした他、小型スーパーの進出がこの地域にも進んでおり、住宅が飽和したこの地域の需要をめぐる競争は留まるところを知らない。
     前方に急勾配があることを示す標識が登場した。

     砂町界隈は概してゼロメートル地帯に相当するのだが、運河が発達しているこの地域は、それをまたぐ橋が点在する。これらの橋は比較的古い規格で建設された一方、船舶の運行や少ない用地といった制約条件から結構急なアップダウンを伴うのだ。
     丸八橋南詰交差点。目の前にそびえる橋が丸八通りの名前の由来ともなった丸八橋である。

     水神小学校のページによると、丸八橋の名前は明治時代にこの辺にあった「丸八」というお香屋の名を取ったという説があるらしい。
     丸八橋で小名木川を渡る。この橋の竣工年は1972年。ちょっと古い。車線数が減ったり勾配がきつかったりするのもまぁ頷ける。
     丸八通りの南側で少しカーブするが、その後はしばらく直線である。

     小名木川の北岸は地名が変わって大島という。
     C2首都高速
     [C44] 船堀橋入口 2.5km
     空港中央 東関道
     200m先右折

     この先のr50/大島六丁目交差点で右折してしばらく進むと、中川と荒川の間の堤防上にランプがある。葛西方面にしか入れないので堀切/三郷/江北方面へ向かうなら亀戸を抜けてから蔵前橋通りに入り、平井大橋まで行く必要がある。
      この先大島六丁目交差点。
     r50交点/大島六丁目

     左折:r50/新大橋通り 新大橋
     直進:r476 三ノ輪 東向島
     右折:r50/新大橋通り 船堀

     r50東京市川線との交点。都心方面及び市川/浦安方面へは既に交差したr10でもアクセスできたりするので南砂からr476を走ってきた人がわざわざ右左折する意味はあまりない。

     直進の「三ノ輪」はR4と明治通りr306との交点。
     交差点の様子。丸八通りの交通量が存外多い。

     なお、都営新宿線大島駅はこの真下にある。
     直進: 三ノ輪 東向島

     大島もまた、集合住宅特に「団地」が多く存在する地域である。
     この先に高架橋が見えるが、この道路自体も橋になっている。

     
     この先竪川大橋にて江東区を流れる運河の1つ竪川を渡る。ちなみに、竪川の真上には首都高速7号小松川線が走っており、都道は川と首都高の間をくぐり抜ける。

     竪川大橋は竣工1970年と丸八橋とほぼ同じ歴史を持つが、この通り幅員もあり勾配以外は余裕のある作りとなっている。
     竪川大橋。

     なお、橋の下の川であるが、もともと水深が浅いこともあり大横川と交差から東側はほとんど暗渠/公園として整備されている。
     竪川大橋の直後には信号交差点があるため橋の上で停車させられることもよくあるようだ。

     遠くに都道をまたぐ高架が見えているが、あれはJR総武本線の高架である。竪川を渡った先の地名は亀戸となる。
     左折:R14 浅草橋
     直進:三ノ輪 東向島
     右折:R14 船堀

     R14/京葉道路との交差点の予告標識。新大橋、清洲橋と隅田川に掛かる橋の名前が標識に書かれているケースが続いたが、左折にある「浅草橋」は地点名(R6交点)である。

     左折方向をずっと進むと浅草橋から靖国通りと名前を変え神保町・市ヶ谷・新宿へ向かう。右折方向を進むと船堀を経て篠崎から自動車専用道路の京葉道路へ合流し船橋・千葉方面へ至る。一般道で東京を東西に横断するには便利な通りであるため、深夜早朝でもそこそこ交通量があった。
     R14交点を通過して少し先でJR総武本線をくぐる。亀戸駅はここから西に500mほど走ったところにあるため、r476の沿線は特に賑やかでもない。
     総武本線をくぐってから先はよく整備された都市計画道路らしい姿となる。右側の緑地は亀戸中央公園という都立公園であり、もともとは日立製作所の工場地であった。面積は10haほどある大きな公園で、総合スポーツ施設を伴う。

     なお、この辺りで左手の住宅地に入ると東武亀戸線の亀戸水神駅がある。東武亀戸線は亀戸-曳舟を結ぶ短い路線で、電車も2両編成とこじんまりした路線だ。
     これまた厄介な予告標識。
     側道左折:押上
     本線直進:r476 三ノ輪 東向島
     側道右折:r315 市川橋 小岩

     r315御徒町小岩線/蔵前橋通りとの交点の予告標識である。
     r315御徒町小岩線/蔵前橋通り交点

     北十間川と旧中川との合流地点に近いこの場所では、r315は高架となっており、r476もこの先で新小原橋という橋梁になる。ギリギリ立体交差にできそうだが東武亀戸線がr476のすぐ西側を走っているためそういう構造も取れない。

     そのため、側道を左折するとr315には合流せず北十間川沿いの区道を走り、のちにr306と交差してからr453に入り押上・浅草方面へ至る。側道を右折しr476をくぐった場合はr315小岩方向に合流可能だ。

     逆に、r315からr476に降りられるのは小岩方面から来た場合のみである。まぁr476と平行するr306とは平面交差しているのでそっちに入れという話で。
     新小原橋で北十間川を渡ると、墨田区立花に突入する。残念ながら区境を示す標識には遭遇しなかった。

     北十間川は墨田区と旧中川を結ぶ運河で、戦前は業平橋駅との鉄道貨物との連携など下町の物流に大きな役割を果たした。この川は東京スカイツリーの麓を流れており、近年親水テラスや船着場が整備され観光資源として注目されている。
     ここまで来ると終点も近い。
     左折:明治通り
     直進:三ノ輪 東向島
     右折:平井橋

     東あずま駅交差点の予告標識である。都道交差点ではないはずだし、かつて都道に指定されていたという情報はキャッチできなかったが、なぜ案内標識があるのやら。旧道?
     東あずま駅交差点。下町の香り残るこじんまりとした駅舎が交差点左側にある。
     350m先交差点

     左手前:r306明治通り 亀戸
     左奥:京島
     直進:r306明治通り 三ノ輪 東向島
     右折:平井橋

     r306王子千住南砂町線/明治通りとの交点が近づいてきた。画面左には東武亀戸線の線路が見える。
     線路と同じ高さで並行するって23区内ではちょっとレアな気がするが、すぐに東武亀戸線は左の方へカーブしてしまう。
     r306/明治通り交点

     左手前:r306明治通り 亀戸
     左奥:京島
     直進:r306明治通り 三ノ輪 東向島
     右折:平井橋

     この先の交差点は直進するr476&r306/環状4号に亀戸方面から来たr306/明治通りが合流、更に区道が2本交わっているという五差路である。レーンごとに交差点での進路は決められているので車線の選択は早めにしよう。

     明治通りというと環状5号というイメージが強いが、それは港区広尾〜北区滝野川と北区王子〜荒川区宮地、つまり23区の西側の話である。駒込から来た環状4号は宮地で環状5号と交わり、そこから東側は南砂町までずっと環状4号となっている。

     都道476号終点

     r306/南砂町千住王子線との交点(小村井交差点)でr476は終点となる。

     ちなみに、夢の島-小村井/r476交点までの明治通りは、都市計画的には補助線街路116号という別の路線になっている。

     レポートはここで終わり、お疲れ様でした。
    感想
     23区東部の都道は走りやすくてそこまでネタも多くないかなぁと思ったが、地域ネタを色々探っているうちにこれまたそこそこの分量となってしまった。

     これからは特例都道のレポート=地域調査みたいなメンタリティでやったほうがいいのかもしれないね。河川とか運河とか都市計画道路の話とか地名由来の話とか盛り込むとどんどん話が深くなっていく。

     r476のように23区東部を南北に結ぶ特例都道は他にもいくつかあるので、いずれ撮影してレポートしてみたいところ。

    関連
     東京都道・千葉県道10号東京浦安線
     r476の南側で3度も交差したr10だが、本線となっているのは1つだけである。その本線が実は撮影済みである。

     東京都道315号御徒町小岩線
     蔵前橋通り。r476とこっそり交差した路線だが、荒川や新中川越えのメインルートの1つであり、23区東部の重要な幹線道路の1つである。


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    最終更新日:15年2月16日 inserted by FC2 system