都心を南北に走る主要な通りの1つ日比谷通りは2本の都道と2本の国道から構成される。そのうちの1本であり、日比谷以南の区間が指定されているのがr409日比谷芝浦線である。沿線に日比谷、芝の2つの都市公園を抱えるこの通りを新緑まぶしい5月に走ってみた。
Information
路線: 東京都道409号 日比谷芝浦線
起点:千代田区有楽町一丁目(R1・R20・r304交点/日比谷交差点)
終点:港区芝浦三丁目(r316/旧海岸通り交点)
延長:3,650m(単独区間)
沿線:日比谷公園、帝国ホテル、都営三田線日比谷駅-三田駅の各駅、増上寺、芝公園、JR田町駅など
走行:全線(終点→起点) 2015年5月3日撮影
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 都道409号終点

 左折:r409 札の辻
 直進:r316 新橋 芝浦ふ頭
 右折進入禁止 

 八千代橋交差点。ここで左折して、r409日比谷芝浦線のトレース開始。
 左折してすぐのところでは、マンションやオフィスビルが立ち並ぶ。このエリアは何度か通ったことがあるが、なぜだかこの地域の住民は道路を自由に渡る傾向が強く、撮影時は見ての通り、それ以前ではお婆さんが車を止めながら白昼堂々トコトコこの道を渡っていたことも。
 この先の橋梁で新芝運河を渡る。正面に見える一見お洒落なビルはヴィラフォンテーヌ田町という住友不動産が運営するホテルである。ホームページを見たところ、ビジネスユース中心ではあるが安ホテルではない印象を受ける。
 ホテルを横に都道を走る。

 奥にR15/r301交点(札の辻交差点)の案内標識が出ているが、残念ながらこれ以上のアップ画像の撮影に失敗してしまった。
 跨線橋でJR線を渡る。r301/桜田通りの延長線上にあるこの跨線橋は線路を渡り終えた後急カーブする。

 撮影当時は右折する必要があったためカーブしながら車線変更というちょっとつらい運転を強いられた。
 カーブを終えたところで、東京タワーが正面に現れる。が、r409はこの先の交差点を直進ではないので、ここはスルー。
 R15/r301交点(札の辻交差点)

 左折:R15 川崎
 直進:r301 国道1号 赤羽橋
 右折:R15 日本橋 銀座
 この先直進するとr301白山祝田田町線、三田二丁目で国道1号と合流(桜田通り)、赤羽橋でR1と別のルートに別れ、皇居方面へ向かうが、基本的には日比谷通りより1本西を並走する主要な道路だ。

 札の辻とは、「街道や宿場町など往来の多い場所に高札を立てた辻(十字路)」を意味する(Wikipedia)。
 ここから暫くの間R15/第一京浜を北上する。

 高札とは、明治以前の日本において法令を街頭に掲示して民衆へ周知させる方法であるから、要するに何か発表がなされるような人通りの多い交差点だという意味である。高札の為の設備である高札場は、東京近郊では青梅街道府中宿に現存している。
 暫くR15を走ると、田町駅前交差点(?)を通過する。JR田町駅と商店街を結ぶ大きな歩道橋が国道を跨ぐ。

 肝心の田町駅ド真ん前は企業ビルや高層マンション、裏側は高校などが立地し商店や飲食店が少ない。また、この歩道橋は近所にあるK塾大学の学生が多く通行する。三田キャンパスなら、きっと色々と本気なKOボーイに出会えるだろう。
 左折:r409/日比谷通り 芝公園
 直進:R15 日本橋 銀座

 そんな三田駅前を通過すると、r409/日比谷通りが分岐する交差点(芝五丁目交差点)の案内標識が現れる。

 言うまでもないが、銀座以北を目指す場合、目的地が山手線より東側ならR15を使うのが早い(新橋-江戸橋のアンダーパス群が効果的)。本郷・巣鴨方面であればr409もしくはr301経由の方が早い。
 r409/日比谷通りが分岐する交差点。住所は芝5丁目にあたるようだが、肝心の交差点名が無い!?
 左折直後の風景。R15よりは交通量が少なく、連休中ともあって非常に落ち着いた雰囲気のオフィス街となる。

 大体この真下に都営三田線の三田駅がある。お察しのとおり、三田線三田駅からJR田町駅は結構遠い。頑張っても7,8分、普通に歩くと10分程度はかかる(浅草線ホームを経由するとなお苦戦する)。三田線から第一京浜直下の浅草線の乗り換えも最低3分-5分はかかるので、乗り換えには余裕を持とう。
 左側に謎のパイプ工作物があるが、その更に左側(写真には写っていない)に、日本電気ことNECの本社ビルがある。

 NECといえばPC-98シリーズという発想をお持ちの方もいるかもしれないが、現在は企業システムやサーバのシェアが高い。また、テレビ放送のテレビマスター装置といった機器や、宇宙産業において小惑星探査機「はやぶさ」を製造していたりする。
 港区芝地域を北上する。
 芝園橋交差点。

 ご察しの通り、交差点のすぐ先(首都高の真下)にある古川を渡る橋梁、芝園橋からついた交差点名である。

 古川は渋谷川の下流部のことで、広尾にある天現寺橋付近(笄川合流点)を境に名前が変わる。芝園橋は大正15年架橋の比較的新しい橋で、名前の由来はご察しの通り、「」が近くにあるからだとか。
 [C1/芝公園入口] 目黒 新宿 40m先左折

 芝公園はフルランプで高速を潜った先の右側にも銀座方面への入口があるのだが、右折レーンを設ける余裕がないこともあり日中の右折は禁止。そのため、矢印で誘導するような事はせず「8:00〜20:00 右折できません」という案内に留めてある。

 芝公園付近のC1都心環状線は浜崎橋JCTでの渋滞の影響を受ける渋滞頻発地点であったが、C2中央環状線の全通に伴い交通の流れはかなり良くなった。
 左折:r319 赤羽橋 首都高速
 直進:r409 日比谷
 右折:金杉橋

 この先の芝公園グランド交差点の予告標識。当のグラウンドは画面左側の木々の向こう側にある。左折するとr319環状三号線となり、六本木・青山方面へ。しかし、標識には数百m先の赤羽橋とその先の首都高入口しか書いてない。

 ちなみに、赤羽橋はR1との交点、金杉橋はR15との交点を指す。
 芝公園管理所が道路左側にあるとともに、画面奥にr319との交点。この交差点の直下に、都営三田線芝公園駅がある。

 芝公園は増上寺を中心とした都立公園で、1873年開園と日本の公園でもかなりの古参にあたる。増上寺境内や区立の公園と一体化しており、「増上寺を取り囲む緑地帯一帯」というイメージを持って考えるとそのエリアや広がりが理解しやすいかもしれない。
 芝東照宮付近を通過する。増上寺より南側には先ほど触れたグラウンドとテニスコート、r319を跨いで芝東照宮、芝丸山古墳、ザ・プリンスパークタワー東京が存在する。

 ちなみにこの直下で都営三田線と大江戸線が地下で交差しているのだが、残念ながら乗換駅は存在しない(大江戸線芝公園駅は存在しない)。三田駅-田町駅の乗り換えといい、個人的に都営地下鉄はどうも気が利かない印象を抱いている。
 増上寺前交差点。

 左手に見える大きな門は増上寺三解脱門(1622年建築)。右折すると総門である大門を潜って浜松町方面へ至る。

 三縁山広度院増上寺と称するこの浄土宗寺院は1393年開基、江戸時代においては徳川家の菩提寺とされた他、檀林(学問所及び養成所)がおかれ、関東十八檀林の筆頭として重要な役目を担った。
 日比谷通りから見た三解脱門は歴史を感じさせる佇まいであるが、境内に入ると本堂である大殿が一際大きな存在感を放つ。
 芝公園エリアを更に突き進む。写真には映ってないが、画面奥の交差点で左に曲がると高級ホテルの1つ、東京プリンスホテルがある。
 左折:神谷町
 直進:日比谷
 右折:浜松町一丁目 R15方面

 特に名称も無さそうな通りとの交差点。R1,r301,R15といったこの地域を並走する道路に移るとなら進路変更を。
 御成門交差点。

 この交差点の直下に都営三田線御成門(東京タワー前)駅がある。御成門とはかつてこの地に存在した増上寺の門の名前であり、徳川将軍家専用の参詣門として設置されたもの、とのこと。

 都営大江戸線/浅草線の大門駅も増上寺の門にちなんで名付けられていることから、この地域における増上寺の影響力の強さが伺える。
 御成門交差点以北は町名が新橋もしくは西新橋となる。見ての通り街並みはオフィス街だ。
 芝郵便局前交差点。写真左端に、芝郵便局の建物がちらっと写っている。
 左折:r405/環二通り 溜池 桜田通り
 直進:r409 日比谷
 右折:r405/環二通り 築地 汐留

 環二通り(新虎通り)交差点の案内標識。
 環二通りとの交差点。新橋から虎ノ門ヒルズを通って外堀通り特許庁前交差点に至るこの通りは東京都市計画道路幹線街路環状第2号線の一部区間を成す道路で、2014年3月29日に開通。

 都市計画道路の環状第2号線は有明から新橋、虎ノ門、四谷、御茶ノ水、秋葉原へ至る都市計画道路で、特許庁前よりも先はほぼ全区間がr405/外堀通りとして以前から開通している。新橋/R15交点付近から有明方面へ至るルートは部分的に開通しているが、豊洲-晴海を結ぶ豊洲大橋など未供用区間がまだ存在する。
 どんどん都心へ向かう。
 左折:r405/外堀通り 四谷
 直進:r409 日比谷
 右折:r405/外堀通り 新橋

 r405外濠環状線/外堀通りとの交差点の予告標識。

 先ほどの環二通りもr405に指定されているが、あちらが支線で、この先交差する外堀通り部分が本線である。今までの話をまとめると「r405本線=外堀通り≒環状第2号線」となる。
 西新橋交差点(r405交点)

 r405/外堀通りとの交点。内幸町駅の入口が左側に存在あるが、JR新橋駅も(一般的に新橋といわれるエリアにも)かなり近い。

 余談だが、r405外濠環状線本線は厳密な環状(起点と終点が同一地点)ではなく、終点が起点とは少しずれた同一路線上に存在するという6の字状をしている。
 西新橋交差点とその次の内幸町交差点の間で、港区から千代田区へ突入する。
 (C1) 首都高速
 [23][24] 霞が関入口 1km 中央道 羽田

 内幸町交差点で都心環状線への案内標識。霞が関入口は左折。
 霞が関の官庁街もこちらで左折するのが最寄りとなる。
 内幸町交差点から起点日比谷交差点まで日比谷公園の東縁を走る。ちょうどこの左の緑の中に、東京で最も歴史のある音楽ホール日比谷公会堂や野外音楽堂の代名詞日比谷野外音楽堂がある。
 丸の内高層ビル街がだんだん近づいてくる。

 右側少し奥のビルは、東京の高級ホテルの代名詞帝国ホテルである。現在の建物は3代目であり、先代の建物は初代ホテルの焼失を受けてアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトが設計、1923年7月竣工した。その建築には紆余曲折があったものの、1923年9月の関東大震災をほとんど無傷で耐え、その後の太平洋戦争の空襲により約40%を焼失しながらもそれを耐えぬいた。
 しかし、建物の老朽化や都心のホテル需要の増大などを受け惜しくも1968年解体、そして万博の年1970年、跡地に現在の「新本館」が開業した。
 日比谷公園沿いを更に進む。右側に見える石造りの建物は日生劇場である。その劇場内部は2万枚のアコヤ貝の貝殻が散りばめられており、幻想的な内装と称されるようだ。

 一方、左側の日比谷公園はちょうど中央部に位置する「大噴水」が撮影地点のすぐ近くにある。
 右側に見える広大な空き地(建設中)には、2011年まで日比谷三井ビルディングという高度経済成長期らしさ溢れるオフィスビルが建っていた。2015年現在、この土地は「(仮称)新日比谷プロジェクト」の名の下、地上35階、地下4階の高層ビル建築を含む再開発の真っ只中である。
 左折:R1/晴海通り 桜田門
 直進:R1 本郷 大手町
 右折:r304/晴海通り 銀座

 R1/r304交点(日比谷交差点)の予告標識。東京国際フォーラムは・・・直進か左折かよくわかんなくね?

 桜田門は警視庁前のR1/R20分岐を示し、本郷はR17/R254分岐あたりを示す。案内標識では左折も晴海通りとされているが、本当は内堀通りである。

 r409起点

 R1/r304交点(日比谷交差点)。日比谷公園の東北端にあたるところであり、R1は向かって直進から左折方向に折れ曲がる。右側はr304日比谷豊洲埠頭東雲町線という面倒な名前の特例主要地方道で、銀座・築地といった名所を通過して東雲でR357湾岸道路にぶつかる。

 この先は丸の内・大手町と続く東京駅西側の高層オフィス街に突入するが、r409はここ日比谷で起点なので、トレースはおしまい。お疲れ様でした。
Impressions
 この路線の特徴といえば、東京の都市公園が2つ沿線にあるところだろうか。

 芝公園、日比谷公園といった2つの公園は共に都民の憩いの場であり、文化やスポーツの場である。今回走ったルートの多くを占める日比谷通り自体は1923年の震災からの復興計画により整備された面が大きいが、これらの公園は明治期から存在する最古参の都市公園である。

 更に、増上寺といった名所があったりとネタには事欠かない都心部らしい路線であった。煩わしい交通集中もなく、初夏の眩しい日差しの下でトレースするのも非常に気分が良い道路であった。

Links
 特になし。


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最終更新日:15年7月29日 inserted by FC2 system