多くの方が十勝と聞いて思い浮かぶのは、広々とした「大平原」とそこに整然と植わっている畑作物、直線的な道路だろう。特に「大平原」は某ホテルのCMのせいかも
 しかし、r974東台留真線は十勝管内でも東端に位置する浦幌町とその西隣、池田町に跨る道で、その沿線は大平原・・・ではなくその辺縁の丘陵にあたり、畑作と同様に畜産業が主要産業となっている。
 おまけに道路自体も直線的とは言うにはちょっと厳しい道。おまけに未舗装持ち

 どちらかと言うと険道ネタという方向で、r974、ご紹介いたします。

Information
路線: 北海道道974号東台留真線
起点:中川郡池田町字東台(r236交点)
終点:十勝郡浦幌町字留真(r56交点)
延長:16,051m(総延長)
沿線:池田町中心部から7km、浦幌町中心部から14km めぼしい沿線施設なし
走行:全線(起点→終点) 2017年5月28日撮影
Index

 北海道道974号東台留真線 第1部 [起点(r236交点)→ 池田町-浦幌町境]
 十勝管内の東部に位置する町、池田町の郊外、東台を起点とする。
 牧場と農場が点在する丘陵地帯を駆け抜けると、周囲は林となり道路も未舗装となる。

 北海道道974号東台留真線 第2部 [池田町-浦幌町境 → 終点(r56交点)]
 未舗装区間を越えた後、別の未舗装持ち道道r1146と交差し、道路は更に東へ。
 浦幌と本別を結ぶr56にぶつかり、終点となる。

Report 1/2

 道道974号終点

 直進:勇足 15km
 右折:浦幌 32km
 左折:草地育成牧場 6km

 r236池田勇足線を勇足方向へ走る。r974の番号は道路上には存在しないが、ここを右折すると起点となる。
 交差点を右折すると、ビニールシートをかぶった標識が出迎える。

 r974は冬期通行止区間を抱えるので、その案内だと思われる。
 起点周辺には数軒の牧場が点在するだけで、めぼしい集落はない

 その代わり、いきなり牧草地と雑木林が織りなす緑の眩しい景色が出迎えてくれる。
 警戒標識。勾配の標識には、よくある「〜%」表示がない。「何%だかわからないけど勾配あるから気をつけろ!」というアバウトな標識である。
 小高い丘陵を沿って走ると今度は下りバージョン。先程と同じくアバウト仕様。
 1kmポスト。

 この道道も全線にわたってキロポストが置かれている。勿論、ありがたいことである。
 なだらかな丘陵をひたすら走るが、カーブもなだらかでここまでは快走路である。
 道路沿線の耕作地は一部麦畑やデントコーンも植わっているが、だいたいは牧草地である。
 2kmポスト。
 道路右側にあるのは牧場。

 池田町は西側の平野部では畑作が盛んだが、この道道を含む東側の丘陵部では畜産業、それも黒毛和牛の肥育素牛の生産と褐毛和種の一貫肥育が盛んである。
 特に池田で一貫肥育された褐毛和種(あか牛)は町内で屠畜、加工され、「いけだ牛」としてブランド化されている。
 褐毛和種の特徴として、その肉は「程よい霜降りでありながら余分な脂肪が少ない」「和牛ならではの風味がとても豊かでジューシー」(JA十勝池田町)とのことである。

 このいけだ牛、流通規模は年間約200頭と決して多くはない。主にAコープでの販売、あるいはイベントでの対面販売という、他所の人にあんまり優しくないが、札幌や滝川にも取り扱う業者があり、ふるさと納税の返礼品にもなっているので一応頑張れば入手可能である。
 3kmポスト。思えばだんだん山っぽくなってきた。
 沿線にはところどころ牧草地がある。面積としては大きくないし、きっと利用するにも不便だろうが、こうした土地がきちんと利用されているのを見ると安心する。
 4kmポスト。もうだいぶ前から同じような写真が続いている気がする。

 もうしばらく舗装区間が続くので、暫しのご辛抱を。
 空が青い!!

 撮影当時は自分の撮影史上トップクラスと言えるほど光条件に恵まれていた気がした。
 4kmポスト以降は本格的に森林となっていく。
 5kmポスト。
 何となくだが交通量が少なそうな路面状態に見える。
 日陰になっているが、ここにゲートがある。

 ここから先、r974は11月下旬〜4月下旬にかけて冬期通行止となる。2017年は4月20日の解除であり、これは全道の冬季閉鎖持ち道道の中では最速クラスだったりする。
 人気のない道をどんどん走る。このカーブの先、怪しそうですね。
 カーブを曲がるとまたすぐにカーブだが、センターラインがないだけで幅はそのまま。

 もしかしたら、荒れた舗装程度の走りやすい峠道か・・・?
 そう期待している私がいた。
 この先幅員減少

 幅員が半分以下まで減少していた。

 走りやすい峠道に淡い期待を抱いていたが、そんなものはなかったのである。
 1車線幅のダートに入る。砂利は深くないのでそこまで走りにくくないが、何しろ路肩弱しという標識がある通り、左側が心許ない。ここまでの区間同様交通量はだいぶ少ないだろうから、ゆっくり走ろう。
 6kmポスト。

 r32豊浦ニセコ線などでも紹介したように、この路線もまた未改良ながら律儀にキロポストが立っている。これも呼び捨てには出来ない「キロポストさん」である。
 この先幅員減少

 とあるが、更に狭くなるほどではない。
 待避所に1台の車が停まっていた。

 持ち主が近くの藪を物色していた、この時期なら山菜取りだろう。

 道内各地の森林は5月上旬〜下旬にかけて、山菜が採れる季節となる。ここまでの道でなくとも、路肩に車を停めて山を物色する人を多く見かける。

 のだが、軽装で入り遭難したり、クマと遭遇する事故も毎年発生している。行かれる方はお気をつけて。  
 コンパクトな未舗装路はまだまだ続く。
 肝心なところにはガードレールがある。ありがたい。
 対向車とすれ違うことはめったにないが、時折待避所が設置されている。
 再びの路肩注意。
 さすがに眺望は良くないが、森林を走る割には意外と開けており、路面に日が当たる場所も少なくない。

 日の当たらない未舗装路は撮影にコツを要するため、こちらとしては助かる仕様である。
 7kmポスト。

 未舗装区間に入って1kmあまり走ったことになる。
 峠道をそこそこ登ってきた。
 青空と灰色の砂利、そして深緑の緑が眩しい。

 外は5月にしては蒸し暑く、セミがけたたましく鳴いていた。未舗装道道の魅力は、本来交通の主要路となるべき道路においてこうした自然溢れる情緒を楽しめる点にある。
 森林に溶け込むようにカーブミラーがある。

 このカーブミラーはきちんと機能している。たまに死んでいるのがあるんですよねえ。

 浦幌町

 ここで池田町から隣町の浦幌町に入る。

 図柄入りのカントリーサインではなく文字だけなのが少し残念だが、その奥に非常に気になる標識がある。
 それがこの渋い道道標識である。

 いや、良いですね。ほんとに。カーブ注意の標識に負けてるけど気にしない。

 最近の道道標識より少し角ばっているのが特徴だが、未舗装区間にある上に状態も良く非常に好印象な標識である。事前リサーチでもわかっていなかっただけに見つけられたことは非常に嬉しいものである。

 第1部はここまで。
Impressions
 r974は道路紹介において「沿線施設無し」表記とともに全線を通して交通量が少なく、まさに穴場の道道である。

 しかしながら、牧草地と雑木林の織りなす美しい緑の風景、樹冠の薄い北海道の森林が生み出す木漏れ日の未舗装路と、十勝らしさといった地域性は薄いものの一般的な北海道道として見ると、走るに値する魅力に恵まれている。

 この地域に慣れている方なら、留真温泉に行くついでにでも1度は通過してみてもらいたい道道である。
 それでは、第2部に続く。

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 北海道道974号東台留真線 第2部 [池田町-浦幌町境 → 終点(r56交点)]
 未舗装区間を越えた後、別の未舗装持ち道道r1146と交差し、道路は更に東へ。
 浦幌と本別を結ぶr56にぶつかり、終点となる。


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最終更新日:17年7月22日 inserted by FC2 system