北海道最北端の都市、稚内を中心とする宗谷管内。日本の実効支配地域として最北の村、猿払村の南部にあり、水没道道として名高いのがこの道道、上猿払浅茅野線だ。
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 北海道道732号上猿払浅茅野線 第1部 [終点(R238交点)→ トレース前半]
 猿払村内南部の浅茅野地区から、早朝の林間道道へ突入する。

 北海道道732号上猿払浅茅野線 第2部 [トレース後半 → 起点(r84交点)]
 延々と続く猿払川沿いの原生林を通り抜け、面影すら見つからぬ廃集落、上猿払地区まで走り抜ける。

Report 2/2
 冠水時通行止

 第1部ではr732名物、水深標と冠水注意の標識群を接写したところで締めた。
 水深標はむしろ草丈を測る物差しになっているが、降雨時はきちんと仕事をするのだろう。
 水深標のすぐ先には、ムメイ川にかかる日暮橋がある。橋といっても橋桁や欄干がなくむしろ川が下をくぐっているだけという様子。
 広葉樹主体の河畔林っぽいエリアをひたすら走る。航空写真で見ると湿地帯・河畔林・針葉樹林(台地)の違いは明瞭で、r732はひたすら蛇行する猿払川と並行してこれらの自然地形を行き来していることがわかる。
 またまた待避所。
 河畔林から針葉樹林帯に入ると道路の雰囲気は暗く、鬱蒼としたものに変わる。
 低地帯に入ったところで、数頭のエゾシカの群れが前方に現れる。

 エゾシカは車が迫ってきてもあまり逃げないので、望遠とトリミングを併用すれば車内からそこそこ撮れる。夜間の場合は驚愕してフリーズしていることもあり、事故は絶えない。
 ここにも草丈測定器 水深標がある。

 猿払川はそこまで高低差のある河川ではなく、洪水をもたらすイメージを持っていなかった。しかし標高が低く全体的には湿性地・湿地帯であることを考えれば、まとまった雨が降れば簡単に冠水するのかも・・・、いや現に度々通行止めとなっている。
 路肩注意の看板。
 延々と続く原生林に読者の皆様も飽きているだろうか、撮影当時はクマの体験から早く駆け抜けたい気持ちとときちんと撮影したい任務感で複雑な心境だった。
 森の間に9kmポストが設置されていた。r732の中間地点。
 「路肩弱し」の看板。設置元はバッチリ北海道。
 鬱蒼とした林の中を突き進む。
 部分的には斜面沿いを走るところもある。
 徐々に周囲が開けてくる。
 一時的に道路は2車線幅となり、猿払川本流を渡る橋梁を越える。

 延々と広がる原生林・湿地帯には多くの沼地があり、それらはこの猿払川に繋がっているという。こうした環境から、猿払川には日本最大の淡水魚、イトウが安定して生息しているそうな。
 3度目の水深標は標識の裏にあり、もはや儀礼的な印象を抱くほどである。

 イトウはサケ科の魚であり、海と川を行き来することができる。猿払川は流速が緩く中流域には氾濫原も広い。こうした環境はイトウの稚魚の生育にむしろ必須であるとWikipediaには記載がある・・・。
 ゲート。悪天候時・冠水時はここで閉鎖されることもあるのだろう。
 ゲートから先はおよそ1.5車線幅が確保されるが、右側の轍がメインとなっている。
 というわけで道路の右側を走行する。左側に入るとひどく揺れる上に砂利が深いので不安定なのである。
 時計も5時半を回り、朝曇の空は徐々に青空を見せはじめる。
 青空のもと相変わらず無人の原野を走る。

 もちろんここまで対向車はない。
 道路際にあったお花畑のような謎の空間。もしかしたらかつて人の手により伐採があったのかもしれないが、元々湿地のようになっているのかもしれない。
 引き続き林の中を走る。なお、猿払川流域のほとんどは王子製紙猿払社有林とされており、その面積は17,290ha、猿払村の面積の約3割になる。
 ムメイ川にかかる光明橋
 今まで以上に広々としたストレートを抜ける。
 一旦カーブを経て、猿払九号線川にかかる沼見橋。しかし沼がどこにあるかはわからない。
 道路は猿払川の左岸(北側)にあり、周囲は河畔林に近い植生。だいぶ走ってきたのでそろそろ起点も近いはずだ。
 300m先交差点

 左折:r84 浜頓別
 右折:r84 豊富

 終点交差点(r84交点)の予告標識。今まで触れてきたように、起点周辺、上猿払地区(石炭別)は1972年に無人集落となり、設置されていた上猿払小中学校は廃校となった。写真撮影位置の右側に、その門の跡、そして敷地跡が残るという。
 猿払川支流、セキタンベツ川にかかる石炭別橋。

 先述の沼見橋から石炭別橋にかけては、時々林が伐採された荒れ地を見かけるが、それはこの周辺がかつて人の手によって開拓された跡である。上猿払小学校は大正8年(1919年)の開校であったから、その歴史は約50年余りということか。
 2車線分を塞ぐ大きなゲート。そしてその向こうで、16kmぶりに舗装が復活する。
 左折:浜頓別 27km
 右折:豊富 31km

 短いものの、転回場も兼ねた異様に広い舗装路が待ち受ける。

 道道732号起点

 r84との交点がこの道道の起点となる。リンク先(おくとん氏ホームページ)にはその探訪記録が書かれているが、この辺りは天北炭田という炭鉱群に位置し、石炭別という地名から分かる通り上猿払はもと炭鉱集落でもあった。1972年に無人集落となって45年の月日が流れ、道道起点付近もほぼ自然に還っている。

 r732トレース後、幕営地の浜頓別で干していたテントを撤収し、r84のトレースにかかった。レポートはここまで。
最終更新:2018年2月3日 
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