「蝦夷富士」として名高く、倶知安・ニセコ地域を代表する山の1つである羊蹄山。
 麓には畑作地帯が広がり、更に伏流水である京極の名水は北海道ではポピュラーな天然水でもある。
 r478京極倶知安線は、そんな羊蹄山の北側を東西に走る好景観道道だ。
Information
路線: 北海道道478号京極倶知安線
起点:虻田郡京極町字京極(R276,r784交点)
終点:虻田郡倶知安町字高砂(R5交点)
延長:12,272m(総延長)
沿線:JAようてい京極支所、京極町役場、道の駅名水の郷きょうごく、羊蹄山、陸上自衛隊倶知安駐屯地 ほか
走行:全線(起点→終点) 2017年5月21日撮影
Report
 300m先
 右折  :r478 ニセコ連峰
 次を左折:R276 苫小牧 喜茂別
 次を右折:r97 豊浦 真狩

 R276を倶知安方向から走行すると、京極町内中心部でr478、r97、R276がそれぞれ分岐する。

 r97豊浦京極線は羊蹄山の南東を回って真狩へ、真狩からはR230の西側を並走して豊浦へ至るロング道道。R276を選ぶと喜茂別でR230と交差し、そこから美笛峠を通って苫小牧へ至るが、R230を選べば留寿都を経て洞爺湖へ至る。

 道道478号起点

 左折:r781
 直進:R276 苫小牧 喜茂別
 右折:r478 ニセコ連峰

 r478は右折。倶知安方面もここを右折で行けるが、R276倶知安方面からの撮影なのでわざわざ来た場所を案内地にはしないらしい。
 交差点の様子。

 早朝6時半とあって交通量はえらく少ない。
 右折するとJAようてい京極支所や、Aコープなどが左側にある。農協がいかにも町の中心という感じで良い。
 次の信号交差点でr821京極停車場線が右へ分岐する。

 京極駅は旧国鉄胆振線の駅の1つであった。胆振線は室蘭本線伊達紋別駅からR453沿いに大滝へ、大滝からR276沿いに進んで函館本線倶知安駅へ至る鉄路であったが、1984年第2次特定地方交通線に指定され、1986年11月1日に全線廃止となった。
 写真には写っていないが、r821分岐のすぐ先左側に京極町役場がある。

 京極の町の名は開拓前駆者の京極氏の名に由来するが、初めからそうだったわけではない。1913年、倶知安から分村した村当時東倶知安村であったが、1919年の鉄道開通時にできた駅は京極子爵の名をとって京極駅と名付けられた。後の1931年、京極から喜茂別方面へ1つ隣に東倶知安駅が設置されたが、こちらは町外れにも関わらず村の名前が付いており非常にややこしい状態となった
 1km 道の駅名水の郷きょうごく

 京極といえば羊蹄山もそうだが、その伏流水である京極の水、名水ふきだし公園が有名である。道の駅はその付帯施設のようなものである。

 駅名と村名が食い違ってしまった東倶知安村。どうなったかというと、1940年、村の名前が京極村に改称されて落ち着いた。京極駅の開駅当時、その駅名に対し私物化だという批判の声も上がっていたそうだが、その27年後に村名までもが開拓者の名前になるという展開となった。しかしどうして京極の東隣を東倶知安駅にしたのか
 町を外れると羊蹄山の全容が見えてくる。

 羊蹄山を真正面に、尻別川を渡る。

 尻別川は支笏湖の西、伊達市内フレ岳を源流とし、喜茂別からR276、R5に沿って羊蹄山を反時計回りに半周し、そのまま蘭越へ下った後、同町内にて日本海へ注ぐ全長126kmの川である。

 尻別川は一級河川水質ベスト5の常連であり、中流部のニセコや倶知安でも川のアトラクションが非常に盛んである。
 道の駅 名水の郷きょうごく 200m

 
 倶知安 14km
 国道5号 12km

 北海道でも有名な湧水地とされるふきだし公園はここを左折するか、道の駅駐車場から徒歩でアクセスできる。
 交差点。名水目当ての車がここで多数出入りするので休日の昼間は要注意。
 道の駅 名水の郷きょうごく

 ここで左折すると道の駅に入る。

 駐車場と公園、物産店と観光客向けの土産物屋があるが、それにしてもふきだし公園のほうがインパクトが強くてならない。

 というか「ふきだし公園」として名称を統一したほうがわかりやすかったのではないだろうか。
 道の駅を過ぎると一気に観光地の気配は薄れる。

 ここで右側に見切れている建物は、京極製氷株式会社の建物である。京極製氷の商品で最もメジャーなものは、他でもない、セイコーマートで販売されるボトルウォーター、「京極の名水」である。

 公園内から専用の配管でこの施設へ送水し、衛生的な環境でボトリングしているとのこと。ちなみにふきだし公園自体は24時間立入り可能で勿論水も湧きっぱなしなので、京極のセイコーマートで水を買うならここで汲んだほうがお手頃だったりする。
 しばらく緩やかな山林の中を走る。

 このあたりから倶知安町内に入るまで、尻別川は蛇行してちょっとした難所となる。
 これからしばらくの間、50km制限となる。
 スリップ注意の標識。

 道道の急勾配区間にはこういう注意喚起の看板がよくある。
 カーブ区間は絶賛改良中。線形をゆるくしつつ、幅員を大きくしているようで、完成後はとても走りやすい道道となりそうだ。
 改良工事はだいぶ進んでいる。
 道路が直線ベースに戻った時点で50km/h制限が解除される。
 3kmポスト。

 r478は総延長で12.3kmあるのであと9kmあまり。
 特に地形的な特徴もないまま、倶知安町に突入する。

 倶知安町の開拓を支えた作物であり今なお特産物であるジャガイモと、町内に立地する一大スキーリゾート、ニセコグランヒラフスキー場芋臭く華麗に融合したデザインがこの「スキーをする男爵芋」である。

 尚、この芋の名前はじゃが太という。倶知安町の公認ゆるキャラであり、誕生は平成3年とゆるキャラにしてはかなりの古参である。
 ちなみに羊蹄山の山麓は、倶知安、京極、喜茂別、真狩、ニセコの5つの町村によって分けられており、町境は頂上に集中している。

 この中で最も山麓を広く分けているのが倶知安であるが、見ての通りカントリーサインには羊蹄山は欠片もない。ちなみに山麓を多く占める次の町村が真狩で、以降、京極、ニセコ、喜茂別の順である。このうち真狩、喜茂別、京極の3町村はカントリーサインに羊蹄山が描かれている。
 山林を抜けると再び視界が開け、周囲はひたすら畑と・・・、
 羊蹄山。助手席から窓を覗くと真正面に見える。こんな風に眺めるのは助手席の特権である。

 余談だが、羊蹄山がカントリーサインに描かれているのは先述の真狩、京極、喜茂別以外にも胆振管内の洞爺湖町がある。

 前方はひたすら直線が続く。

 この辺りも1区画300間(約550m)四方の殖民区画で直線的に区切られる。尻別川を挟んで北側を並走するR276も同様に真っ直ぐである。
 倶知安市街 9km

 R5交点まではもう少し近い。  
 5月後半とあって道路際の白樺も青々と茂ってきた。本格的な観光シーズンが来て、この辺りのドライブも非常に爽快である。
 そして再び助手席の特権、羊蹄山。

 畑の奥に山がそびえるこの風景は、牧歌的であるが十勝のようにそこまで広大でもなく、石狩空知のような低地でもなく、かといって山の形が大いに富士山を想起させるので欧州的でもない、いかにも後志らしい風景である。
 そんな羊蹄山の標高は1898m。富士山(3776m)のほぼ半分と憶えておけば良いが、単純に相似な立体として体積は1/8になるので、スケール感もそんな感じである。
 畑と山のコラボレーションをひたすら楽しむ。
 そろそろ前方にも山が見えていることにお気づきだろう。ニセコアンヌプリを始めとするニセコ連峰が正面に遠望出来る。
 ニセコ連峰はニセコアンヌプリ(1,308m)を最高峰とする。東西25km、南北15kmの長さがある火山群である。

 山の美しさと地の利もあってか観光整備は行き届いており、冬はスキー、夏はトレッキングとアウトドアの聖地と言っても差し支えない。

 羊蹄山が度重なる崩落により山麓に小さなキャンプ場と登山ルートしかないのと比べると対照的である。
 両脇は相変わらず畑。写真としてはニセコに残雪が残り、畑が作物で覆われる6月下旬頃がベストシーズンであると思うが、馬鈴薯畑は7月中旬に花が咲くのでその時期も悪くない。
 直進:r478 R5方面 倶知安市街
 右折:赤井川 R276/R393方面

 この先の交差点で右折すると尻別川を渡ってR276/R393分岐へ直結する。倶知安をパスして赤井川・小樽方面へ向かうには便利なルートだ。
 倶知安市街、小川原修記念美術館は右へ、ニセコ国際ひらふスキー場は直進。
 赤井川方面はこの信号交差点で右折。
 400m先
 左折:R5 函館 ニセコ
 右折:R5 小樽 倶知安市街

 ニセコ連峰がくっきり見えてくると、R5交点はもうすぐ。
 観光地案内。シチュエーションにもよるが、一般にニセコと言うとニセコ連峰エリアに広がるリゾート地全域を指すことが多いか。

 ひらふ、東山、ワイスの3拠点が標識に載っている。ひらふはニセコ市街と倶知安市街のおおよそ中間、JR比羅夫駅からほど近いエリアで、東山はひらふの東隣、ワイスは倶知安市街からr58倶知安ニセコ線を登り、ワイスホルン山の麓に位置する。

 3拠点ともスキー場、温泉、ホテルがあるリゾート拠点である。すごい。
 左折:R5 函館 ニセコ
 右折:R5 小樽 倶知安市街

 交差点まで少し距離があるが、案内標識。

 r478/R5交点は倶知安市街から2kmほどニセコ寄りにある。ひらふへの分岐はニセコ方面へ左折し2km余り走った場所、r631ニセコ高原比羅夫線との分岐である。
 この辺りは倶知安郊外で、ニセコ連峰をバックに量販店が立ち並ぶ。

 道道478号終点

 前方の道は北海道唯一の1ケタ国道、R5。ここを右へ曲がれば倶知安市街、左へ行けばニセコ町方面だ。

 r478のレポートはここで終わり。お疲れ様でした。
Impressions
 「景色のいい道」、色々ある。

 「全線が抜け道として便利な道」はそれなりにある。

 だがしかし、景色が良くて全線トレースしても有用な路線というのはだいぶ少ない。
 わざわざ走りにいく必要のある立地や、好景観区間があってもそうでない区間と抱き合わせになっておりトレースすると遠回りになる路線というのがありがちである。

 r478はどうだろう?

 まず景色がいい。京極からは羊蹄山、倶知安ではニセコ連峰を手近に望むことができる。このあたりで作付が盛んな馬鈴薯畑は開花期になるとそこそこ美しい。

 次にルートとしてはどうだろう。

 京極から倶知安へ至る最短かつメジャーなルートはR276であるが、r478を通っても大きな差は無い。それどころか。京極のふきだし公園を目的地に組み込む場合、R276を利用するよりも楽に周遊する事が可能である。

 何がいいたいかというと、r478は景観、利便性、そして改良が終われば線形と非常に恵まれている。ついでにセイコーマートのペットボトルに入る前の名水も飲める。北海道を走る道道初心者に是非おすすめしたい路線の1つである。

Links
特に無し。


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最終更新日:17年8月3日 inserted by FC2 system