十勝地方南部に位置する更別村は、十勝管内でも特に一戸あたりの耕作面積が大きく、農業の大規模経営化が進んでいるのが特徴だ。村内西部の中心軸となるr472更南更別停車場線は、そんな大農業地域をひたすら突っ走る道道である。
Information
路線: 北海道道472号更南更別停車場線
起点:河西郡更別村字更南(r55交点)
終点:河西郡更別村字更別中央町(旧更別駅跡)
延長:10,945m(実延長)
沿線:更別村営牧場 他
走行:全線(起点→終点) 2018年5月5日撮影
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 道道472号起点

 左折:r472 更別市街
 直進:r55 大樹 尾田

 r55清水大樹線は実延長86kmのロング道道で、十勝平野の南縁をなぞるのだが、更別村を通過するのはこの交差点周囲の2km程度で、「ちょっと通り抜けるだけ」感がある。そんな短い区間でr472が分岐するわけだが、立地としては更別村域ほぼ西端にある。
 交差点の周囲は村営牧場、つまり公共の牧場である。

 敷地面積318haのうち222haが放牧地で、例年5月から11月にかけて酪農家/畜産家から預託された雌牛・馬を放牧・育成する役割を担っている。r806上音更上士幌線のレポートでも触れたが、こういった公共牧場で預かられる「育成牛」は、主に人工授精し妊娠した状態で返却するという。
 左折すると、果てしなく続く一直線路とr472の道道標識が出迎える。

 補助標識にはバッチリ「起点 更南更別停車場線」と書かれている。ヘキサが比較的新しいのが個人的にイマイチだが、この補助標識はファンにとっては嬉しい一品だろう。
 r472は、進んでも進んでも一直線である。

 延長11km弱のうち、起点側8km余りはこの直線である。自然地形に合わせたアップダウンがあり道路の先は見渡せないところもあるが、視界は半端なく広い。

 そしてこの日の更別は見事な青空が広がっていた。カメラの発色設定と写真の補正で多少盛っている部分はあるのだが(・・・!)、本当にいい青空だった。

 といっても撮影当日は天気の変わり目で、朝晩はどんよりと曇り、西にそびえる日高山脈は分厚い雲に隠されていた。しかし、こういう日の青空はすごく青い。雲が散らばっているのでなおさら色合いがはっきりしている。
 ひたすら続く直線道路の両脇はだいたい耕作地なのだが、ところどころ森林として残っている部分もある。

 この雑木林は防風林というわけでもなく単純に森として残っている区画である。開拓の手が及ばなかったのか・・・?
 更別村の総面積は176平方km。十勝管内、というより実は十勝、釧路、根室、オホーツクの道東4振興局管内の中で最も面積が小さい自治体である。

 更別村は1947年に旧大正村(現帯広市南部)から中札内村とともに分村してできた村なのだが、この際、管内西部の日高山脈にあたる山林が村域に含まれなかった。これに関してどういった経緯があったのかは調べきれなかったのだが、結果としては山をあまり持たないことになった。
 こうした分村もあって、更別村は村域176平方kmのうち11,500ha(115平方km)、実に村域の65%が耕地面積という超農業地域となった。逆に、林野率は17.6%とかなり低い数値に収まっている。

 また、耕地面積11,500haのうち約8,000haは寒冷地の基本輪作となる豆、小麦、甜菜、馬鈴薯であり、残りはほとんど牧草地である。
 4kmポスト。この間ずっと直進・・・。

 更別村を何度か走った印象としては、牧草地はこの道道の起点側である更南エリアに多いように感じられた。この標識付近にある民家も酪農を営んでいる家のようだった。
 青空のもと、一直線に走る。

 カメラの発色設定と補正をいじったはいいが、少し青みが強すぎたかもしれない。
 真っ平らに見えて実はたまにアップダウンがある。写真に映る限り直線。
 途中でサッチャルベツ川という川を渡る。

 サッチャルベツ川は更別村のうち中札内村寄りの地域(r472沿線)を流域とする川で、先程の村営牧場付近を源流に更別村内を北東に向かって流れ、村市街地を通過し大樹町寄りを流れてきた猿別川に合流する。

 更別村域のほとんどはこのサッチャルベツ川か猿別川の流域に相当する。そんなに大きい川でもないんですけどね・・・。
 6kmポスト。いつの間にかr472も半分以上トレースした。
 路線名入りの道道標識。

 撮影日は農作物の植え付けが始まる時期で、左右の畑はビートの植え付けが終わった直後だった。
 カーブ注意の標識。

 ようやくr472はカーブする。7kmぐらいは走ったはずだぞ・・・!
 緩やかなカーブを通り抜けると、雑木林と畑の間を再び直進する。
 ここで帯広広尾自動車道をくぐる。

 更別ICより1.8kmほど広尾寄りに進んだ地点にあたる。なお、帯広広尾道自体は芽室帯広IC付近からほぼずっと盛土区間として建設されており、幕別町(旧忠類村)域に入るまでひたすら単調な景色が続く。
 帯広広尾道をくぐると今度はきちんとしたカーブが近づいてくる。
 道道はここで90度カーブし、北寄りへ向きを変える。

 ここで右方向に分岐すると更別市街をパスしてR236へ出ることができる。国道交点付近にあるどんぐり公園内すももの里も右へ。

 すももの栽培は開拓当初盛んに行われていたという。更別周辺では畑作物に紛れてはいるが、「すももの塩漬け」が特産品として販売されているのを見かける。
 カーブしてすぐに、更別村市街地に突入する。

 各種公共施設への案内表示もある。更別村は人口3,000人あまりの人口規模であるが、その割に公共施設類は立派な気がする。
 直進:[E60]帯広広尾道
 右折:r472 国道236号

 r472走行中はじめての案内標識。E60帯広広尾道は直進すると近い。

 E60帯広広尾道・・・、って、
 なんと!ナンバリングが導入されている!!

 一般道標識で早速導入するとはすごいぞr472。先進的な案内標識が村の入口に出てくるという想定外な出来事に私は驚いていた。一旦停車して標識を満喫しようと思ったのだが、撮影地点すぐ左の民家でおじいちゃんが黙々と作業をしているのを見て、不審者になれない私はあっさり通過してしまったのだった。
 標識に従って右折すると右手に神社の鳥居が見える。

 地元の神社である更別神社の鳥居で、r472はここを左に曲がる。
 そして、左折するとこの通り、更別のメインストリートに入る。ようやく商店街、市街地ですよ・・・!
 道道472号終点

 メインストリートを300mほど直進すると、ひときわ大きな道路との交差点がある。特に標識類は無いが、ここがr470更別停車場線との交点で、r472の終点となる。

 直進するとr470で、旧更別駅跡はここを左折する。駅跡までの道はr470/r472の重複区間となっている。
 左折すると、人口3000人の村中心部に相応しく(?)、片側2車線道路を走ることとなる。突き当りに見えるのは農産物倉庫と民家で、駅跡は倉庫手前の農協本所のある辺りとなる。
 旧更別駅跡

 左に時計が見えていると思うが、その敷地がJAさらべつの本所。道路右側には交番があり、その前には・・・、
 記念に残された駅名標と石碑が設置されている。

 残念ながら、はっきりと分かる更別駅の痕跡はこの駅名標とモニュメントぐらいで、あとは道路に転用されたりJAの敷地になったりとことごとく消されている。

 旧広尾線が周囲の街路に対し平行ではなく斜めに走っていたこと、線路の両脇に農協倉庫があること、そして駅敷地自体が1面1線のコンパクトな駅だったということもあり、あまり残せるものではなかったのだろう。せめて公園、というのは贅沢だったかな・・・。
最終更新:2018年5月13日 
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