日本海オロロンラインを構成する路線の1つ、留萌から幌延を経て稚内に至る国道232号。
 R232から盲腸線が伸びている話は何度かしたので、今度はR232より山側を遠回りする道道を見てみることにしよう。
Information
路線: 北海道道1062号 力昼九重線
起点:苫前郡苫前町力昼(R232交点)
終点:苫前郡苫前町九重(r1049交点)
延長:7,072m(実延長、改良前
沿線:苫前町力昼地区、古丹別地区 
走行:全線(終点→起点) 2015年6月21日撮影
Report 1/1

 道道1062号終点

 直進:r1049 三渓
 右折:r1062 力昼 R232方面

 4桁番号の道道同士が交わるというちょっと珍しい交差点。r1049苫前小平線は未開通区間があり、苫前側は三渓地区で道が途切れる。なお、日本最悪の獣害事件とも呼ばれる三毛別羆事件の跡地がそこにある。
 r1062に入るといきなりゲートと「お知らせ」が待ち構える。

 要するに、人口希薄地帯と険しい道を予告しているのであるが、r1062は2011年に改良が施され(新ルート切り替え)、通年通行可能な快適路となった。このゲートももう出番が無いかもしれない。
 1つ上の画像に見えていた六角形を撮影。ルート切替に伴い未改良区間を失ったことを既に知っていた私がこの路線を訪れた理由は、千の位を省略したこの道道標識に会いたかったからである。

 こういう標識たまにあるんですよね。
  というわけで、道道を走る。割と普通の道です。
 r1062の新旧ルートの違いについては実はよく知らないのであるが、とりあえずすぐに分かったことは、峠部分のルートが切り替わったこと、その際に旧羽幌線の用地を転用したことである。
 一応沿線に畑か牧草地が見える。
 しかし衛星写真や地図で調べるうち、r1062のルート改良は随分と大規模なことであることを知った。とりあえず地図を見てみよう。
 こちらがr1062のルート地図である。青い線が新ルートを含む現在の認定区間全線、そして赤色の線が町道に格下げられた旧ルートを示す。新ルートの延長7.1kmに対して旧ルートの延長は5.2km実に路線延長の70%以上が切り替えられた大変化を遂げたことになる。
 何の変哲もない道路が続く。

 恐らくこの写真と次の写真の間に旧ルートとの分岐点がある。
 だんだん法面が目立つようになる。
 それなりに急な上り坂。

 この区間は旧羽幌線敷地を通っているが・・・、にしちゃ坂がきつい、と思う方もいらっしゃるかも知れない。羽幌線はこの峠をトンネルで通っていたのだがこの道路からはそのような痕跡は伺えない。
 そうこうしているうちに、峠部分に差し掛かる。
 下り坂に差し掛かってすぐ、旧ルートとの交点がある。
 旧ルートをちょっとだけ眺めてみる。勾配標識や待避所標識は新しいが、開削部分を外れるとストリートビューもお手上げの悪路区間になる。

 先ほどの地図を見ていただけるとおわかりかとおもうが、かつては海側の力昼集落の途中から林道のような狭隘路・悪路となり、古丹別側は先ほど言及した旧道分岐のあたり羽幌線と再会する、というルートを取っていた。それゆえ、旧道時代は頻繁に通行止めとなる開かずの道道だったとか。
 さぁここから海まで下り坂!
 この周辺ももちろん羽幌線の線路敷を通っているはずなのだが、そのような痕跡は伺えない。

 遠別や羽幌で国道232号を走ると簡単に羽幌線の痕跡を見つけることが出来たが、それとは対照的である。
 一通り坂を降りると、道路の周りは牧草地か畑か耕作放棄地のような感じになる。
 集落が近いのか、幅員減少の標識が現れる。
 道路は右にカーブして・・・。
 番屋ノ沢地区の集落に入る。
 画面中ほどの交差点で旧ルートと合流を果たす。新ルート開通以前は、この小さな交差点(普通なら林道や神社への接続路のように見える)で道道がメインストリートから逸れ、山を越え九重・古丹別方面へ向かっていた。

 旧ルート時代には案内標識もあったらしいので見ていれば迷う心配はなかっただろうが、単なる抜け道だと思った一見さんにとっては度肝を抜かれる道だったに違いない。

 なお、羽幌線はこのあたりでこの道路を高架で跨いでいたらしい。
 景色が開けてくる。笹だらけの斜面の向こうは海かな?
 番屋ノ沢地区の海側の集落は力昼(リキビル)という。案外普通の読みだが珍しい響きである。

 道内で「〜〜ビル」とつく地名で有名なのはここ力昼と浜益の濃昼(ゴキビル)の2つと思われる。力昼は「高い・水際からそそり立っている崖」というアイヌ語(リ・キピル)が、濃昼はアイヌ語「ボキンビリ」(山の陰)あるいは「オ・キピル」(河口の〜〜崖)が地名の由来と言われる。
 左折:R232 留萌 小平
 右折:R232 稚内 羽幌

 そして突き当り、R232交点が見えてくる。その向こうは日本海だ。

 道道1062号起点

 信号のない交差点でr1062の旅は終わり。旭川へ向かうべく、我々はここを左折した。
Impressions
 レポート内で言及したように、r1062は元々鉄道に並行してはいるものの、実用性には全くすぐれないちょっと凶悪な道道であった。

 線路が無くなった後も開かずの道道でありながらその凶悪さは健在であったが、2011年、20年越しの事業の完成形として、羽幌線の線路敷を利用した快適なルートが開通したのである。

 文中でも触れたが、全長7km程度の内、その7割以上、5kmにも及ぶ区間が切り替わっているというのはちょっと珍しい規模である(ロング都道府県道のうちの5kmならたまにあることだが、この道路はそうではない。トンネルを掘っているわけでもないし)。ただし、それに気付かなければr1062は普通の道道になってしまった気がするのである。

 そして、そうしてできた道路の利用数はお察しであったりするのもどこか寂しいものである。
 あと、苫前名物丘陵の風車群もこの道道からは見えない・・・。

Links
 特に無し。



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最終更新日:16年7月28日
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