北海道に点在する、「何もない」道道。
 r1051湧洞線もまたそんな道道の1つである。そこにあるのは、海と湖と道と森だけである。
Information
路線: 北海道道1051号湧洞線
起点:中川郡豊頃町湧洞(湧洞沼付近)
終点:中川郡豊頃町湧洞(R336,r318交点)
延長:9,069m(総延長)
沿線:湧洞沼 ほか
走行:全線(起点→終点) 2017年9月3日撮影
Report

 道道1051号起点

 北海道十勝管内の海岸沿い、湧洞沼と太平洋の間に、道道の起点がある。

 湧洞沼

 道道起点は駐車スペース兼転回場となっており、その脇には看板も何もなく、ありのままの海跡湖、湧洞沼が広がっている。

 起点スペースから南へ向くとすぐに太平洋の水平線が見える。パノラマで撮影すると海と湖が幅数十メートルの砂嘴で隔たれていることがよく分かる。

 ちなみに、湧洞沼は撮影地点後方(西側)で太平洋と繋がっている。
 というわけで、道道トレース開始。

 道道以外の人工物は見当たらないが、秋鮭釣りやら何やらでやたらと車とテントと人の気配があった。何もないのを味わいたいならもう少し早い時期のほうがいいかもしれない。
 たまに標柱も無くなるので奥の丘陵以外は原野と湖と海である。

 
 道路上には「矢羽」のついた標柱が並んでいるが、r1051は冬期間通行止となる。つまり、積雪期に役立つはずの矢印には活躍の機会は無いのである。

 
 が、この矢羽は夜間ハイビームにすると光を反射してくれるので夜間ドライブのナビゲーションとしても機能しているから、全く無駄というわけではない。

 反射板ならもうちょっとコンパクトでもいいんですけどね・・・。
 
 ここで突然、道路の左側に標柱、右側に六角形のシルエットが現れる。

 r1051起点に至るにはこの道をR336から走るしかないので既に一度見ているのだが・・・改めて正面を拝見しよう。
 これがr1051の道道標識、そして湧洞沼へ続く道道である。

 右側には湧洞沼とその向こうの丘陵が目につくが、左側は砂嘴の上に広がる原野と太平洋で、地平線のようにも見える。過去にレポートしたr106稚内天塩線や、r950野付風連公園線といった最果て系道道にも似ている。


 そう、「何もない」道道は十勝にも存在する
 道路の反対側には「一般道道湧洞線」と書かれた補助標識のようなものが立っている。

 原野をバックにした標柱、個人的にはこの上に道道標識が乗っかっていれば至高である。

 標柱の先端は綺麗な水平である。脱落した可能性もあるが、きれいな標柱ゆえ、補助標識の上に六角形の道道標識などそもそも無かったのかもしれない。
 標柱のある地点から湧洞沼を眺めるとこうなる(上写真)。

 沼の岸は湿地帯となっている。下手に足を踏み入れると汚れること間違い無しである。

 というわけで、道道に戻る。
 起点から2km過ぎ、道道は沼に沿って左へカーブする。

 正面に見える丘陵には簡素な階段が設置されており、沼を一望する「見晴台」が存在する。撮影当時は登らずにスルーしてしまったが、ここ、登っておけば間違いなく綺麗だっただろうな・・・。
 ここからは湖畔がたまに見える程度。
 
 
 湧洞沼と丘陵地の間を走る。周囲は森林であり、人為的な利用もほとんど見られない。
 
 撮影当時は気圧配置の影響で北西の風が強く、湖面はさざ波が立っていた。

 この風、湧洞沼付近では完全に陸からの風となるため、砂嘴を越えて海岸そばまで来ても全く潮風を受けないという変わった状態であった。
 
 ここで唐突に道路舗装が真新しくなる。

 沿線人口ほぼ0、それどころか人工建造物すらほぼ無いこの盲腸線でも舗装工事は行われるのである。  
 真っ黒い舗装と青空とのコントラストが美しい。
 再度景色は開けてくる。

 道路沿いは沼から牧草地へと姿を変える。冬季閉鎖のゲートはこの牧草地に入る手前にある。
 ハマナス橋

 地名ネタ切れ感全開の橋梁。ハマナスにちなんで欄干の色は赤。
 牧草地とデントコーン畑を左右に、もう少し突っ走る。
 
 アヤメ橋

 欄干の色は紫。
 リンドウ橋

 欄干の色は紫だが、アヤメより少し薄いはず。
 左折:R336 広尾 大樹
 直進:r318 帯広 茂岩
 右折:R336 釧路 浦幌

 そんなプチ酪農地帯を通り過ぎると、R336交点の予告標識。

 それはそうとこの道道、

 起点から終点まで、沿線に民家が一軒もない。ここまで走って違和感を感じた方もいるかもしれないが、本当にガチの無人道道なのである。

 道道1051号終点

 R336との交点で道道は終点となる。直進すると、r318湧洞豊頃停車場線を経て豊頃市街方面(茂岩)、更にR38orr62経由で帯広方面へ向かう。

 これにてr1051のレポートは終わり!
Impressions
 r1051の特徴は、まず盲腸線であることである。
 それも、他の盲腸線と違うのは、温泉施設などがあるわけでもなく、林道に接続するわけでもなく、本当にどこにも繋がっていないのである。

 これだけで秘境系道道として中々の要件を備えていると思う。無駄遣い感もあるし・・・

 次に、水に挟まれた原野を走っていることである。
 先述の通り、r106稚内天塩線や、r950野付風連公園線といった最果て系道道にも似たような環境を通っており、その景色の開けっぷりは他の道道とは一線を画するものがある。

 のだが、立地が十勝管内南部と最果てにしちゃ地味なこと、観光施設が見晴台という名の丘陵ぐらいしかないことから、ツーリングやドライブの立ち寄り地としてはディープな穴場である。ただ、釣りで賑わう時期を除けば非常に人っ気の薄い場所なので、根釧まで行く余裕はない、あるいは十勝中心に旅行するという方には訪問する価値のある道道である。

Links
 北海道道881号ホロカヤントー線
 お隣大樹町、ヨウ素分たっぷりの晩成温泉を抱える盲腸線道道。
 そもそも「ホロカヤントー」ってなんだ?

 北海道道912号大津長節線
 豊頃町の港町、大津から太平洋に沿って走り、湧洞沼と同じく海跡湖の長節湖へ。
 長節湖はその湖畔にキャンプ場もあり、湧洞沼よりは観光地感のあるスポットだ。

都道府県道レポート一覧へ戻る
蒼の街道トップページへ戻る


最終更新日:17年9月15日 inserted by FC2 system