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 取材日:2018年12月8日
 後志自動車道 余市IC→小樽JCT.

 「平成最後の冬」を迎えた12月。この冬最強クラスの寒波まで押し寄せる中、後志道がついに開通する。
 なおこの撮影ではTwitterでフォロー関係にあるぜろえもん氏と薄型氏が同行しており、
 レポート画像の一部はぜろえもん氏が私のカメラで撮ったものである。

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 [E5A] 後志道 [ 13 ] 余市
 この先左折

 小樽から更に西へ延伸する高速道路、後志自動車道。その西の端、小樽市の隣、余市町まで回り込んだ我々は、起点となる余市ICで開通待ちすべくインターチェンジへ向かう。

 この交差点はR229とr753登余市停車場線との交点で、左に行くと余市町登地区を経て赤井川方面へ向かうことができる。余市ICの開通にあわせたのだろうか、交差点も若干拡幅されている。

 左折:小樽 R5方面
 直進:r753 赤井川 [E5A後志道/ 13 余市]
 右折:仁木

 左折するとすぐにJR函館本線を渡る踏切があり、その向こう側に広がる市街地を走る。

 余市町は2018年時点で約1.9万人の人口を抱える町で、実は後志管内の郡部では人口最大となる自治体である。私も今回まで知らなかったのだが、意外と内陸部まで市街地が続いているのである。

 [E5A] 後志道
 [ 13 ] 余市 1km

 ピッカピカの標柱と予告標識が道道上でも我々を出迎える。

 なお標識のフォントであるが、一般道上の予告標識は北海道開発局や道が管理主体となっているためだろうか、なぜか全てゴナ体ベースのものが採用されている。本線で使われているヒラギノじゃないのかよ・・・と思うところである。

 赤井川 10km
 小樽フルーツ街道 1km

 距離標識。小樽フルーツ街道は小樽市塩谷方面と余市方面とを結ぶ広域農道で、これもまた後志道に並行する道である。余市市街や蘭島・塩谷沿岸部の混雑を避けて小樽-仁木を行き来する裏道として利用されることが多かったが、後志道開通によりここを通る車は減ってしまうかもしれない。

 r753を東進し、市街地を徐々に離れる。夏であれば周囲には水田が広がっている。

 左折:国道5号
 直進:[E5A 後志道][13 余市]
 右折:r753 赤井川

 奥の信号交差点とその更に奥に見える高架が余市ICとなる。

余市IC交差点

 前方に見える高架は共和方面に向けて建設中の後志道本線で、後志道へは交差点を直進して高架脇を登る。

 r753に直結する形かと思っていたのだがそんなことはなく、また周囲の標識やランプ構造を見るに共和方面へ延伸後は従来のY字型ICのようにランプが集約された構造ではなく一般道からの入口が2箇所となりそうな様子である。

 ランプを登り、しばらく走ると本線上に入り、開通待ちの車列の最後尾につく。しかし結構な上り坂である。

13 余市IC

 本線料金所の200mぐらい手前で開通を待つ。

 今回の開通では、最先頭20番目までは事前に整理券を配布し当日集合してもらう形式を取っており、記念品や走行証の配布があったようである。我々当日勢はその後であり、特に配布されるものなどは無く開通を待つだけであった。

 開通待ち恒例の、周囲の様子を(車内から)じっくり眺める時間。

 なんと余市ICの出口標識が「終点」ではなく地名表記で設置されており、接続国道としてR229が登場していることがわかる。

 そして開通時刻の15時を過ぎると、ついに車列が動き出す。

 後志自動車道開通!

 本線料金所も運用を開始している。一般/ETC併用とETC専用の2レーン。

 なお、開通前はLED表示が「閉鎖中」となっていたようで、恐らく開通と同時に写真と同じ表示に変化したと思われる。料金所が運用を開始する瞬間を見られるのは料金所を間近に見られる先頭側の特権であろう。

余市本線料金所

 後志道余市ICには料金所がない代わりに本線料金所が設置されている。これはこの先倶知安方面が新直轄方式で建設される(→開通すると無料で通れる)ことが決まっているためで、現在のところは道央道大沼公園、士別剣淵と同様に事実上の終点IC料金所として機能している。

 路側には関係者の方々が「祝」と書かれた看板とともに通行車両を見守っている。こういう祝賀ムードもまた、開通待ちをしたときだけに楽しめる特別なものだと思う。

 料金所を通過すると、そこかしこにカメラを抱えたメディアがいる。カメラマンにカメラを向けて撮影するのはちょっと気恥ずかしい。そういえば富良野道路のときは職員っぽいおじさん1人しかいなかった。

 なお、余市本線料金所から入ると小樽塩谷までの料金を課金した上で入場記録を付け、出場ICの料金所で差額を追加して課金するという精算方式を取っている。なお、非ETCでは通行券を渡された上で支払いが発生する。この収受方式についてはNEXCOによると「距離に応じた適正な料金をいただくため」としているが、入場記録/通行券発行だけでもいいのではと思う。

 料金所を過ぎてようやく速度が乗ってくる。余市ICのあたりからずっとセンターポールではなくワイヤーロープだったりする。

 22KP。後志道は小樽JCT.を0KPとするキロポストの振り方をしているが、IC番号は札樽道の続きとして扱われており、また後志自動車道の起点は小樽ではなく余市である。

 トンネル情報。LED表示はフルカラー表示で、標識まで再現する強いやつ。

 なお、後志道はトンネルと橋梁が連続しており左側には日本海をチラチラと望むことができる。本州の方には、舞鶴若狭道に雰囲気が近いといえばわかる方もいるかも知れない。

 トンネル手前にして点灯標識とラジオの案内が登場する。

 余市小樽トンネル 長さ300m

 パッと見土被りは浅そうな短小トンネル。

 余市小樽トンネルは名前の通り余市町と小樽市の境界を跨いでおり、トンネル直後で小樽市に突入する。

 「相模原八王子トンネル」を彷彿とさせる安直ネーミングだが「フゴッペトンネル」など既存地名を使うにはちょっと遠い位置にあるのでやむなしか。

[ 12 ]小樽塩谷6km
[ 9 ]小樽JCT20km
[E5A札樽道]札幌49km

 距離標識。札幌都心までは50kmを切る近さで、余市は冬でも札幌から約1時間で移動可能な圏内となった。

 蘭島トンネル 長さ910m

 トンネル内には待避所脇に緑色の「アクセント照明」が設置されている。

 単調になりがちなトンネル内を運転するドライバーに対し視覚的に刺激を与えるためのものらしいが(要は居眠り防止)、新しいトンネルのきれいな隔壁でギリギリ目立つ程度、あとは設置数が少なく効果的とは言えない印象だ。

 船取山トンネル 長さ140m

 土被りが非常に浅く、素人目には開削で十分に見える場所だったため遺跡かと思ったが実際はそうではなく、地すべりのすべり面がこの山に存在することから工法変更を余儀なくされた結果である。

 船取山から先、徐々に山岳区間となっていく。

 カーブしながらの車間確認区間。路面の様子は把握できない。

 トンネル手前にもう1回車間確認区間。

 小樽忍路トンネル 長さ320m

 トンネルを抜けると追越車線の予告標識。

 [ 12 ] 小樽塩谷 2km

 小樽塩谷IC予告標識。IC番号は12番で、小樽IC(後志道開通に伴い11に変更)の次という位置にある。

 1箇所だけやたらとポールの立っている橋がある。道内の一般道でも何箇所か存在するが、鳥対策のためと思われる。

 (5) 小樽塩谷 [ 12 ] 出口900m

 予告標識。方面表示はなくIC名のみ。接続道路は実際は道道経由で国道に接続するものの道道番号は書かれず。

 追越車線 長さ2400m

 ここから先小樽塩谷ICの前後は追越車線が続いている。余市ICから来ると初めての追越車線となる。

 (5) 小樽塩谷 [ 12 ] 出口500m

 (5) 小樽塩谷 [ 12 ] 出口

 IC名は周辺の字名に由来するもので、最近のIC名は案内のために自治体名を冠することが多い(富良野道路は地域高規格道路ということもあり例外的である)。
 遠軽瀬戸瀬、陸別小利別、といった具合である。

12 小樽塩谷IC

 本開通区間の中間ICとなる小樽塩谷IC。計画段階では「小樽西IC」という仮称だったが、2018年1月ごろに名称が変更されていたらしく、開通直前に出たNEXCO資料(プレスではない)でその名前が公になり話題となった。r1173小樽塩谷インター線を介してr956小樽環状線、R5に接続する。

 周辺にめぼしいスポットや市街地は無いが、塩谷や蘭島からの海水浴帰りに利用するとちょうど良さそうな立地である。またJR函館本線の塩谷駅がICのすぐそばに存在している。

 小樽塩谷ICを通過する。形状はまさかのトランペット型、さすが有料区間は大盤振る舞いである。

[ 9 ]小樽JCT11km
[ 8 ]銭函23km
[E5A札樽道]札幌41km

 距離標識。札樽道朝里・小樽方面への距離は書かれていない。

 車間確認がここにも。

 路肩の誘導灯が早速点灯している。視界不良時の視界目安・路側把握に役立つ代物で、道内高速の各地に設置されている。小樽塩谷IC付近では道路がきれいにカーブしており誘導灯が並ぶ様子を見るだけでもとってもきれい。

 早速次のトンネルが顔を出す。

 トンネルの上には斜面やら学校のような建物やらが存在しているのが見える。

 天狗山トンネル 長さ2980m

 名前の通り、天狗山の直下を通るトンネル。小樽の天狗山は市街地を見下ろす急斜面がスキー場として利用されておりその景色と日本海側の豪雪を一気にそれも手軽に楽しむことができる。地味にすごい場所だと思っているがあんまりメジャーな観光地ではない。

 天狗山トンネルはカーブがあるもののやはり中身はシンプル。ということでこちらにもアクセント照明、このトンネルでは青色になっている。

 トンネルを抜けると短い明かり区間に出る。

 写真では伝わりにくいが次のトンネルまでの間は高い橋梁になっており、小樽市天神地区の谷あいにある住宅地を一気に跨ぐ。直下にはr697天神南小樽停車場線が通っているが、下から見たほうがそのスケール感がわかりやすいだろう。

 天神第一トンネル 長さ500m

 天狗山の東隣、R393の通る毛無山方面へ進む。まずは1本目のトンネル、天神第一トンネル。

 トンネルを抜けるとスノーシェルターを介して次のトンネルに直結する。道東道の山岳区間を思い出すような作りだ。

 トンネル名表記が見にくいが、天神第二トンネルに入る。

 坑口とシェルターの間はネットで塞がれており、防雪体制が強化されていることがわかる。

 天神第二トンネル 長さ2870m

 アクセント照明は緑色。当時はトンネル内がちょっとモヤってた。

 天神第二トンネルを抜けると再び橋梁メインの明かり区間。

 [ 9 ] 小樽JCT 2km

 小樽JCTの予告標識。奥に透明フェンスのある橋が見えているが、これが朝里川地区/r1小樽定山渓線を一挙に跨ぐ橋となっている。

 小樽JCT 1.3km
 左へ:[E5A札樽道]朝里 小樽
 右へ:[E5A札樽道]札幌 E5道央道

 新光トンネル 長さ460m

 後志道最後のトンネル、新光トンネルに入る。

 トンネルを抜けると情報表示板。朝里・小樽方面と札幌方面の2つに分かれる。

 小樽JCT 500m
 左へ:[E5A札樽道]朝里 小樽
 右へ:[E5A札樽道]札幌 E5道央道

9 小樽JCT

 左へ:[E5A札樽道]朝里 小樽
 右へ:[E5A札樽道]札幌 E5道央道

 札樽道の本線からだいぶ離れた位置なのだが、ここで小樽IC方面と札幌方面との分岐となる。小樽JCT自体が札樽道朝里IC-新光BS-張碓トンネルの勾配区間に設置されており、後志道がそれに対し鋭角に接続するため、早めに分岐させてランプを長めに作っておかないと勾配もカーブも急なものになってしまうのである。

 今回は銭函ICへ向かうため札幌方面へのランプに入る。

 ランプ部に入るとこれまでの山岳区間から一転、目の前に日本海が広がる開放的な区間となる。これは恐らく北海道のジャンクションの中で一番景色がいいのではないだろうか。

 なおランプは札樽道に向かって3%の下り坂となっており、前方に緩やかなカーブも見える。この辺りで左を見ると朝里ICを一望する事もできるため、助手席の脇見が相当捗りそうだ(ドライバーは脇見ダメですよ・・・!)。

 余談だが、分岐から先に振られているキロポストはランプ距離のものであり、後志道本線のものと異なる。本線0KPは分岐の付け根にあるのが通例なのでどのJCTにも言えることだが、ランプ部分の走行距離は料金計算に加算されないのだ。とすると小樽JCTというのは結構コスパのいいJCTなのでは・・・?と余計なことを考えてみたりもする。

 ぐるっと右カーブ。

 一通りカーブしたところで、ようやく札樽道の本線が見えてくる。

 撮影位置にあるランプ橋は昨年の時点から架橋されていたのだが、ここの工事を一晩でやっていたような気がするんですよね。

 ランプを走り抜けて札樽自動車道に合流する。これにて後志道の開通ラン終わりとなる。
 なお小樽JCTは朝里ICとほぼ隣接するような位置で設置されているため、銭函までは結構距離がある。休憩という観点で見ると更に先の金山PAまで休憩施設は存在しないため、最悪朝里ICで一旦下車するという選択肢も持っておこう。

Next:
札樽道下り 区間4
小樽IC→銭函IC

※後志道開通以前の撮影
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最終更新:2018年12月13日
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